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異色のキャリアを経て起業したCEOに訊く
"組織で働くことの価値"

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#ビジョンがやる気に、仲間の存在が勇気に#仕事と本気で向き合う#スタンスと胆力

株式会社ABCash Technologies・辻 侑吾氏にインタビュー。
エンジニアから水産業界、そして金融業界で起業…という異色の経歴を持つ辻氏のキャリアを追いながら、未経験はリスクではないということ、ビジネスに必要なたった2つのポイント、組織で働くことの価値などを教えていただきました。
特にZ世代が不安に感じている不安がひとつずつ解消され、最後には勇気が湧いてくるような記事です。

株式会社ABCash Technologies
辻 侑吾
辻 侑吾社長のプロフィール画像

2007年サイバーエージェントへ入社。エンジニアとして課金システムのリプレイス後、課金システム全体の責任者に就任。2011年に同社を退職後、水産仲卸業者・水産専門商社に入社し、専務取締役、営業戦略部本部長を歴任。
2018年に株式会社ABCash Technologies(旧 株式会社bookee)に執行役員として入社。その後、管理管掌、事業管掌取締役を経て2023年より代表取締役社長。

辻 侑吾社長のプロフィール画像

仕事に本気で向き合うと、人生が宝探しのように思えてくる

新卒時代のお話から伺いたいです。1社目にサイバーエージェントを選んだ理由を教えていただけますか。

自分が成長できそうな会社へ入りたいという想いが強く、ベンチャー企業を中心に就職活動をしていました。複数内定を頂いたのですが、先輩社員のお話を聞いたり懇親会に参加したりする中で、サイバーエージェントが1番自分とフィットしそうだと思い入社しました。

入社後は、明け方まで働いて4時頃シャワーを浴びて5~9時まで寝て、また働くというような生活でした。とても大変ではありましたがその分成長もできたので「最高の会社に入れたな」と、今振り返っても思います。

そうした辻さんから見て、今の仕事観についてはどう思いますか?

長時間働くことが必ずしも良いわけではなく、労働時間自体は8時間でもいいと思っています。
ただ、本気になっている時って仕事のことがずっと頭にあるはずなんですよ。オフィスを出たら終わりではなく「今日の商談はこうすればよかったな」「あの企画はこうしたら面白そうだ」などと、常になにかしらアイディアや思考を巡らせているというか。

通勤中や食事中、街を歩いている時、休日、お風呂に入っている時でさえも仕事のことを考えて、ポジティブな情報やアイディアを収集することが習慣化されていく。そうすると生きていることが宝探しのように思えてくるじゃないですか。
そのゾーンに入るとすごく楽しいので、やっぱりせっかく働くなら自分なりに本気で向き合えると良いのではないかと思います。

辻 侑吾社長が話している様子

ビジネスで最も重要なのは
スキルでも経験でもなく、スタンスと胆力

その楽しさは、働いていく中でわかってきたものなのでしょうか。

そうですね。働き始めるとビジネスには正解がないということに気づいて、だんだんとその奥深さにハマっていくんですよ。
サイバーエージェントではエンジニアとしてキャリアをスタートしたのですが、エンジニアからシステムを見るリーダーへ、最終的にはそのシステムの責任者を任せていただくようになったんです。

業務がプログラミングからマネジメントを主とするものに変わっていく過程も面白かったですし、徐々に仕事へのめりこんでいって、気づけば働くこと自体が難易度の高いゲームをしているような感覚になっていました。

サイバーエージェントでそれだけやりがいを感じながら、転職された理由を教えてください。

「もっとリスクを背負う経験をした方が、成長にもやりがいにもつながるだろう」と思い、経営に携わりたいと考えるようになりました。そこで実家が営んでいた水産卸売業の会社に入りました。10人ほどの規模の会社だからこそ、キャッシュフローを見られたり会社を動かすようなポジションにつけたりするはずと考えての決断でした。

そこでも非常に勉強になったのですが、卸売市場というのは昔からの考えがそのまま引き継がれているような状態だったのと、東京都が卸売市場を運営していたこともあってイノベーションが起きづらい業界で。悶々としていたタイミングでサイバーエージェントの同期が「一緒に起業しないか」と誘ってくれて、bookee(現 ABCash Technologies)に入ったという流れです。

金融系未経験で起業するというのは、勇気の要る決断だったのではと思います。

いえ、もちろん経験のあることをやった方が有利だと思いますが、未経験であること自体はそこまで大きなリスクにはならないんですよ。サイバーエージェントから水産を始めた時も、水産から金融を始めた時もそうでした。

ビジネス上で大事なポイントって、スタンスと胆力だと思います。スタンスが良くて胆力のある人は頑張れるので、スキルはあとからついてきます。わからないことは周囲に聞きながらやっていけばいいし、本気でやっていれば彼らの中から仲間になってくれる人も出てくる。だから不安にならなくて大丈夫ですよ。これは就活や転職にも言えることかもしれません。

ビジョンが自らを奮い立たせ、仲間が自分に勇気をくれる

くじけそうになる瞬間もあったかと思いますが、ここまで力強く進んでこられたのはなぜですか?

実現したい世界があること、またそこに集う仲間がいるからですね。
ABCashが掲げている「お金の不安に終止符を打つ。」というミッションは非常に良いものだと思っています。金融教育を全員が受けられるようになれば社会が変わる。そこに懸ける気持ちがいつも自分を奮い立たせてくれているなと思います。

そしてこのミッションや、その先にあるビジョンに共感して一緒に走ってくれているメンバーの存在も大きいです。同じところへ向かって頑張る人が増えていくとそれだけ実現可能性も高まるので、私自身どんどん「できる」と信じられるようになっていく。メンバーが信じさせてくれているのかもしれません。

会社で働く意味が、そこに詰まっている気がします。

まさにそうですね。
個人でもお金を稼ぐことはできますが、世の中を変えるとかインパクトを残すようなことをするのは個人や少人数では難しい。たくさんの仲間と大きな組織をつくって、その組織が同じ方向を向いてメラメラ熱狂して、ひとつずつ達成していく。ビジョンとはその繰り返しで実現していくものだと思います。

皆でなら大きな夢を描けるし、実現できる。これが組織で働く価値です。
そして今、ABCashにはそうしたメンバーが集まってくれている。そのことがとても嬉しいし有難い。私たちが掲げるビジョン「金融教育市場を開拓し、誰もが金融リテラシーを身につけている社会を創る。」へ向けて、皆で社会にイノベーションを起こしていきたいと思います。

辻 侑吾社長が話している様子
編集後記

個の時代が叫ばれる昨今ですが、改めて「組織で働くことの価値」を教えていただいたことで、なんだか前向きになれた気がします。
「起業はリスクがあるから」「フリーランスは保証がないから」といったマイナスな意味で会社勤めを選ぶのではなく、せっかく選択するのなら「より大きなことを成し遂げるため」とポジティブでいたい。そしてそれはきっと私にもできると思わせていただいたインタビューでした。

編集:佐藤 由理

「株式会社ABCash Technologies」概要

「お金の不安に終止符を打つ。」をミッションに掲げ、 2018年に創業した企業。
金融教育サービスを通じて「10年後、なりたい自分をお金で諦めない」をコンセプトとする、お金の情報格差のない世界を実現するための新しいビジネスを追求している。
主要事業の『ABCash(エービーキャッシュ)』では、専属のパーソナルコンサルタントが金融知識・ノウハウ提供、資産管理・運用サポートなどのお金のトレーニングを提供しており、2024年2月には累計受講者数が5万人を突破した。

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