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24歳で起業し38歳で倒産、再起業_
波乱万丈な半生に学ぶ“人生を切り拓くヒント”

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#個性が循環する組織づくり#再起業#社会貢献

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回は、株式会社アクロスペイラ代表取締役、須田 誠氏にインタビューしました。
須田氏は、24歳で起業後、38歳の時に倒産を経験。それから再び「自分の方法でやりたい」という想いのもと、起業へ踏み切ったと語ります。その半生からは“自ら人生を切り拓いていく”ヒントが得られました。
須田氏が会社を興してまでやりたかったこととその理由、そして今想うこととは?

株式会社アクロスペイラ
須田 誠
須田 誠 氏 のプロフィール画像

1965年、北海道函館市生まれ。86年にコンピューター専門学校卒業後、日本SEへ入社。
88年にエムケーティー、2006年にアクチャルテクノロジーズを創業。17年、アクロクリエイトと合併し、アクロスペイラとなる。現在、アクロスペイラ代表取締役のほか、アクロクレイン、HumanRockの代表取締役を兼務している。

須田 誠 氏 のプロフィール画像

エンジニアから2度の起業へ_苦労をいとわず挑み続けた20~30代

20代の頃はどのように働かれてきましたか?

21歳からエンジニアとして働いて、24歳でシステム開発の会社を立ち上げました。数年後に知り合った会社と意気投合して合併、その頃ITバブルを迎えたので、それなりに事業を拡大させられたものの、38歳で一度潰すことになりました。

今思えば未熟だったし、調子に乗りすぎてしまったのだと思います。
経営をしていればそれなりに問題が起きますが、それまで成功体験しかしてきていなかったものですから、多数発生した問題に上手く対処できなかったんです。

再度起業されたのは、どれくらい経ってからのことでしょうか。

2〜3年のうちだったと思います。

会社をたたんだ後、依頼を受けて知り合いの会社へ役員として入りました。でもあくまで手伝いなので、その会社の考え方で動かないといけないじゃないですか。そのうちまた“自分の方法でやりたい”という気持ちが強くなってきたんです。

当時、アクログループの創業者がその会社へ経営支援をしていて、色々相談させていただく中で「もう一度やってみたほうがいいんじゃないの」と言われて、再チャレンジすることになりました。

苦労されたと思いますが、サラリと話されるのが格好いいです。

いえいえ(笑)
性格的に、苦労するのは好きなんですよ。常に新しいことをしたいし、それで苦労すること自体はあまり苦に感じないのだと思います。

強みを活かし、弱みはカバーしあう“個性が循環する”組織をつくりたい

須田さんの“やりたいこと”とは?

私が1番やりたいのは、組織づくりです。

経営において考えなくてはいけない3要素といったら、資金と営業と組織づくりだと思います。
グループ企業に入ると、運転資金は借りられるので心配がない。グループ内に営業がいっぱいいるので受注にも困らない。1番やりたかった部分に注力できることが、参画してよかった理由のひとつにあります。

実際、御社はどのような組織風土なのでしょうか。

連帯責任の意識は強いですね。なにか問題が起きた時誰かのせいにしない、全員の責任として動きましょうと。明言しているわけではありませんが、私からそのように動いているので、社内にも浸透しているかな。

人には当然強みも弱みもあって、弱みが出てしまうことで失敗につながるわけじゃないですか。私は、それを責める組織にはしたくありません。
お互いを理解し、それぞれの良さを活かして、苦手なことはみんなでカバーする。個性を循環させられるような組織づくりを心がけています。

組織づくりに興味を持つようになったのはいつ頃ですか?

子どもの頃から、学校の先生になりたかったんですよ。
人を集めて、それぞれの個性を引き出して「この人にはこれ、あの人にはこれをやってもらおう」と考えて、みんなでなにかを成し遂げることが好きでした。

教育大学に行きたかったのですが、落ちてしまって、仕方なく当時流行っていたコンピューターの専門学校へ行きました。それが案外面白くて、そのまま業界に入ったという経緯です。

だから今も、生徒を指導するような感覚でリーダーシップをとっている気がします。ビジネスのリーダーと教育を伴うリーダーって全然違うじゃないですか。私は後者タイプです。

原体験が経営のあり方につながっているのですね。

そうですね。先生にはなれませんでしたが、そこから苦労して違う自分をつくりだしたのではなく、ビジョンやいいところを持ってきて組み合わせて今の自分ができている感じです。
私自身も、自分で自分を活かしているのかもしれません。

チャレンジの繰り返しで、自分の人生が拓けていく

ご経験を踏まえて、若い世代へ伝えたいことはありますか?

若い世代を見ていると「会社から与えてもらおう、成長させてもらおう」という思考になっている人が多いなと思います。悪いことではないのですが、もったいない気がするんです。

私はたいした学歴もありませんし、最初に入ったのも大きな会社ではありません。でもやりたいことがあったので、実現のために会社を興しました。
どんな大学や会社へ入っても、結局は自分次第だと思います。「チャレンジしないと自分の人生はつくれないよ」と伝えたいです。

20代から経営にトライするというのは、本質的ですね。

会社の仕事はお客様や株主のために、利益を生み出すことであって、人を救うことではありません。だから会社になにかを期待して入社した人とは、ギャップが生まれてしまうんですよ。

自分もこの会社をつくっている側である、という意識を持てると良いと思います。
会社に利益をもたらせる存在になれれば、その働きは自ずと、給与や働きやすさといった形で返ってきます。そのためにはやっぱり、自分で考えて動いていくことです。

最後に、今後の展望をお聞かせください。

2~3年前、急に自分がもう歳なんだと気づきまして(笑)会社を成長させていくことはもちろんですが、次の世代を応援していきたいと思って、一生懸命になっているところです。
若い会社に少しずつ資本を出したり、子ども向けのプログラミング教育を支援する社団法人を立ち上げたりしています。

組織づくりの枠を超えて、自分が培ってきたことを少しずつ次の世代へ繋いでいきたいです。

編集後記

チャレンジやそこに伴う苦労をいとわないどころか、獲得した成果や地位を積極的に次世代へ引き継いでいこうとする須田氏は、とても清々しく格好いいと感じました。
“魅力”とはきっと、得たもの自体ではなく、それを得るまでの過程やその後の扱い方に宿るものなのです。

絶えず挑み、得て、めぐらせること。その繰り返しこそが、人生を拓き、輝かせてくれるのかもしれません。

編集:佐藤 由理

「株式会社アクロスペイラ」概要

2006年創業。システムインテグレーション、システムエンジニアリングサービス、WEB制作など、多様なITサービスを提供する。新しいテクノロジーに対応し“信頼と品質”をモットーに、顧客ビジネスを支援している。

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