AI CROSS株式会社・原田 典子氏にインタビューしました。頂いた言葉はどれも甘くはありませんでしたが、お話を伺うほどに「私もできるかもしれない」と思えてくるのが不思議でした。
それはきっと、根底に“想い”があるから。そのメッセージに気づいた時、きっと心から「私も頑張れる」と思えることでしょう。若い世代はもちろん、ライフステージの変化に直面している女性にもぜひ読んでいただきたい記事です。
株式会社で働くので、“事業を通じて世の中へ貢献していく”という枠組みは大前提にあります。
その上で私は、自分を成長させてくれると同時に、自分のできることを探していく“自己実現の場”でもあると思っています。
はい。「日本人が」と言うと語弊がありますが、帰国した時“楽しそうに働いている人が少ない”と感じました。
ただこれには、文化の違いも関係していると思います。例えばアメリカは企業が解雇できますよね。
解雇されるとは“その会社と自分が合わない”ということ。合わなければパフォーマンスが出ないでしょうから、本人のためにも他へ移った方が良いですし、自分が合うと思う会社なら働き続けられるように労働者側が努力をしますよね。そういう文化だからきっと、アメリカには能動的な人が多いんです。
そして国を問わず、企業側と労働者が互いに合うと思える状態で働く方がどちらにとっても良いはずなのに、日本では労働者だけが“合う・合わない”と言えて、企業側は“合わない”と言えない状況…これでは歪んでくるでしょう。
また、仕事に対してプライドを持って働いている人が少ないなとも感じました。
自分を下げることで相手を立てたり、手前味噌って言葉だったり、自分の家族や会社の人を呼び捨てにしたり…そういう“謙遜文化”を通じて、基本的に“自分を下げる”傾向にあるんですよね。
日本人であることや自分の所属する組織のことを悪く言うのを聞いて「自分の一部なのに、なぜそんなことを思うんだろう」と違和感を覚えることも多くありました。
そうですね、私はずっとマイノリティな中で育ってきたので。
福岡で生まれて、東京、千葉と転々としているんですよね。小学校も3つぐらい変わってますし、ドイツに行ったらマイノリティですし、インターナショナルスクールに行っても日本人もマイノリティですし…どうしても“自分が日本人である”ことや“日本人とはなにか”に意識が向きました。
人間には“親から引き継いだもの”と“自分が努力して得たもの”、そして“天命”という3つがあると思います。
親から引き継いだものを持ちながら、努力してゆく過程で“なにが好きなのか得意なのか”を磨き続けていく…そこから実現したいこと=天命が明確になっていくのではないかと考えています。
日本の教育システムだと、好きや得意を問いかけられる場面はあまりありませんから、就職活動の時に自己分析をしてもわからないのは当然だと思います。
ただその仕組みを評論しても仕方ないので、仮に新卒でどこかしらの会社に入ったならば、まずは一定期間そこで命を尽くして働くしかないんじゃないでしょうか。やり切った先に、答えが見えてくると思います。
はい。やっぱり「これが自分の天職だ」と見つけている人は皆、やり切っています。
反対にやり切る前に諦めると、そこから何かを見い出すことも成長もできません。もしかすると、その道が天命だったかもしれないのに…自分にとって損ですよね。
しかし例外として、人生には時折“転機”が訪れます。
例えば私は、主人と出会わなかったら結婚することはなかったと思います。ニューヨークで当時手掛けていたビジネスを成功させて市民権を得ようと思っていたくらいでしたが、主人と結婚・出産して、主人がたまたま日本の駐在員だったので帰国する選択をして、今がある。
つまりその時にどれだけやりたいと思っても、その流れを変えられるような“転機”が来るんですよね。
それには逆らわない方が良いし、逆に転機が来るまでやりきってきた結果できた今の道は、私の人生における最短ルートだったんだなと思えています。
マザー・テレサさんの言葉に「思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。」とあるように、最も重要なのは習慣だと思います。
誰でも自分を好きでいたいじゃないですか、自分が頑張ったなと思えたら喜びが生まれるじゃないですか。頑張りたくない人なんて、いないはずなんです。でも人間は弱くて、自分を律することがなかなか難しい。
だからそういった頑張らざるを得ない環境に身を置くとか、「ここでやり切りたい」と思えるところに飛び込んでいくというのも1つの方法だと思います。
私の場合は、親の教育や、(ブラックとも言えるような働き方をした)1社目のおかげで、やり切る習慣がついたのだと思います。
挑戦するのは怖いかもしれないけれど、実は、リスクってそんなに無いんです。
例えば子どもが生まれると、子どもを食べさせることが大事_言い換えればリスクの1つになりますよね。ただそのレベルで「今なにが最大のリスクだろう」と考えてみると、あまり無い。これを理解しておくと、大胆になれます。
特に若い時は守るものが少ないので、もっと大胆にチャレンジしたらよいのではと思います。
人はみんな、なにか持って生まれています。みんなダイヤモンドの原石なので、他人と比べなくていい。それぞれの良さがあるし、だからこそそこを磨く努力をしてほしいなと思います。
特に女性は、インポスター症候群と言って、自己肯定感が低い傾向にあるんですよね。
それは仕方のないことなのですが、誰しも小さい成功体験の積み重ねで自信はついていくし、自分が輝ける場は絶対にあるので…それを見つけることに一生懸命になって欲しいし、見つけられた時には大事にしてほしいです。
海外と日本のギャップ、やり切る習慣の重要性そして「みんな原石だからこそ、磨く努力を」というメッセージ…
ご自身の人生を語っているようで、実はさまざまな角度から「あなたはもっとできるよ」と勇気づけてくれている、力強く温かいインタビューでした。
特に女性として、転機が来るまでやり切ることを心がけたい。くじけそうになった時には、やり切った先にいる原田氏を希望の星にして、自分を磨き続けたいと思いました。
編集:佐藤 由理
2015年に設立された、AI技術に強みを持つシステム開発企業。
「Smart Work , Smart Life」というミッションを掲げ、AIを活用した次世代サービス・技術革新を推進。効率的なコミュニケーションインフラの実現を目指している。創業5期目となる19年に東証マザーズへ上場した。