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「“時間価値”を最大化する」CEOの、
きわめてシンプルな思考

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#成長し続けたい#悩みは幻想#なりたい像をセットする

株式会社エアークローゼット・天沼 聰氏にインタビューしました。
「時間価値を最大化したい」と語った天沼氏。その想いの根源にある原体験、そして「そのためにどうしてきたか」というお話を伺う中で、人生の充実度や成長、自己肯定感など…あらゆる部分に通ずるアドバイスが得られました。

株式会社エアークローゼット
天沼 聰
天沼 聰社長のプロフィール画像

英ロンドン大学卒。アビームコンサルティング、楽天株式会社を経て、「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」をビジョンに、2014年株式会社エアークローゼットを設立。日本初の普段着に特化した月額制ファッションレンタルサービス『airCloset』を立ち上げ、日本サービス大賞「内閣総理大臣賞」を受賞。2022年にグロース市場上場。一般社団法人シェアリングエコノミー協会 理事。

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「捉え方次第ですべての時間が有意義に」
天沼氏が“時間価値”にこだわるワケ

天沼さんにとって“働く”とはなんですか?

前提として、働くとは“生きるために当たり前にするべきこと”だと思っています。

ただ人生の中で1番長い時間をかける、自己成長に通ずる行為でもあるので、それを面倒だなと思ってしまうと、人生の大半をそう思いながら過ごすことになりますし、そういう自分って絶対好きになれないんですよね。
ですから働くとは当たり前のことかつ、1番ワクワクする時間にしたいものでもあります。

そう考えるようになったのはいつからですか。

割と最初からだと思います。
私のベースになっている部分をお伝えすると、ずっと後をついて回るくらい大好きだった父が、私が小学生の頃に突然他界して、人生はいつなにが起きるかわからない、有限な時間を生きているのだと実感したんです。

だから私は、面倒だなと思うような時間を過ごしたくありません。生きていればやらなくてはいけないことはたくさんありますが、それを面倒だと思うのではなく、捉え方次第ではすべての時間が有意義になります。

例えば「学校行きたくないな」とさぼっていたとして、自分を肯定できないんですよね、時間を有益に使ってないから。それなら極論、思いっきりさぼればいいじゃんと思ったり(笑)。
「自分が納得できるような時間の使い方をしたほうが良い」という考えがずっと私の人生のベースにありますし、それはエアークローゼットの想い「時間価値を上げる」にもなっています。

原体験が今の天沼さんをつくったのですね。

そうですね。また「マインドセット」という本に書いてあって共感したのが、人間はだいたいフィックストマインドセットとグロースマインドセットの2種類に分かれるということ。
前者は、自分のいる“環境”が原因だと捉える考え方です。後者は、環境に対して自分が変化したり、捉え方を変えたりするタイプとされています。

グロースマインドセットだと常に「自分はここでどんなアウトプットができるか」ということを考え続けるので、環境が変わっても最大限の自己成長ができますが、前者は環境に依存しているので成長の波が結構あります。

私は時間の価値を最大化したいので、グロースマインドセットで成長し続けたいと…そんな考え方です。

天沼 聰社長インタビュー中

成長し続けるため、最初にセットすべき“なりたい像”とは

そういう価値観や、やりたいことを持てたら人生が有意義になると思いますが、それが自然とできる人はそう多くありません。

結局大事なのは、“なりたい自分”を持っているかどうかだけだと思います。すごくシンプルに。
何年後に転職して、部長職に就いて、年収はこのくらいで…といった細かい設定は要らなくて、「こうなっていたい」という“状態目標”でいいんです。ワンピースのルフィみたいなリーダーになりたいとか、キングダムの嬴政みたいにみんなの前でかっこよく語れるようになりたいくらいの粒度で大丈夫。

映画を観たりマンガを読んだり、日常生活で他人と話したりする時に、自分がなにかに共感したりすることって必ずあるじゃないですか。もし共感して「こうなりたい」と思ったら、今の自分と比較してみてください。
「この差を経験でいかに埋めるか」考えて行動することで、成長につながると思います。

天沼さん自身は、例えばどんな目標がありましたか?

私は最初コンサルファームに入ったのですが、それは当時から“起業”が将来の選択肢として頭の片隅にあったからです。

起業してみてもいいかもしれないと思いながらも、人前で話すことが苦手で、プレゼン用のカンペが揺れて読めない位くらい緊張しいでした。
「リーダーシップを発揮している自分になりたい」と考えた時、こんな緊張しながら話している自分はなりたい像じゃないなと。私は“かっこよくプレゼンテーションができるとか、人前で自信を持って話をできる状態”になりたいと思いました。これが状態目標ですね。
そこに至るには何が必要かなと思ったら、1番場数を踏めそうなのがコンサルファームだったので入社したんです。

そうすると、プレゼンテーションの機会があったら嫌でも手を挙げますよね。リーダーシップを発揮できる自分になるために入社しているのですから。つまり、自分が望む方へ成長していくことができる。
ですから、最初にセットするのは“なりたい像”なんじゃないかなと思うわけです。

とてもシンプルで本質的な考え方ですね。

学生さんからもよくこういった質問を受けますが、本当にこのくらいの考え方でいいのではと思っています。

「この先どうなりたくて、今どの部分で成長していますか?」という問いに、常に自分の言葉で答えられる状態なら、働いている時間も納得できるし楽しいと思います。自分にプレッシャーはかかりますし嫌ですが、なりたい像へ向かって進んでいく過程ならしんどくない。これはすごく大事だし、時間を有益に使っている状態かなと。

また最近は「自分に合う仕事を探しましょう」とか「やりたいことを仕事にしましょう」というメッセージも多いですが、個人的には結構無責任だと感じています。
環境や仕事が合う・合わないではなくて、自分の理想に対して、自分がそこから得られる経験はなにかを考えることの方が先だと思うんですよね。

悩みをアクションに落とし込むまで考え切って、前へ進め

「こうなりたい」を明確にしておくと、悩むことがなさそうです。

もちろん私も焦ったり悔しかったりすることはありますが、感情は変えられないものと割り切って「次どうするか」整理することにしているので、悩むことは確かにあまりないかもしれません。
悩みって、考え切っていないから生まれる“幻想”なんですよ。

例えば漠然と「老後が不安だ」と悩んでいたとして、それなら資産形成を考えよう、いくら必要?3000万円くらいかな、3000万円貯蓄するには…と分解して考えていくと、今やるべきアクションが具体的になるので、あとはそれをやるだけになりますよね。そうなると悩まない。

私の場合「お客様がサービスを愛してくださるかわからない」「資金が尽きてしまうかもしれない」なんて不安は尽きませんが、だからこそ常に「じゃあどうする?」と、具体的なアクションに落とし込むまで考えて行動に移す。もしくは、諦めることにしています。

諦めることもあるんですね(笑)

今できることをすべてやっているなら、その先はどうしようもないじゃないですか。考え切って、今のベストを尽くす。そうすると不要に悩まなくなります。

ビジネスパーソンとして、現時点での“なりたい像”をお聞かせいただけますか。

私は死ぬまで成長し続けたいので、常に全方位で学ぶ姿勢をつくりたいと思っています。
今日のインタビューでも、この問いかけ方がわかりやすいなと思ったら盗むとか、佐藤さんの価値観から学ぶとか。相手や環境、場面を問わず、すべての事象から学ぶ人間でありたいなと、成長の観点からは思います。

また、働くとは自己表現=“なりたい像を体現し続ける”ことだと思っていて…そうすることで着実に近づいていくし、常に成長している自分って褒められますよね。圧倒的に自己肯定感が上がるし、そうするともっと頑張ろうと思える。

そんなサイクルをつくることって成長においてとても大事なので、若い世代の皆さんも、まずはなりたい像を掲げて行動してみるのが良いのではないかなと思います。

天沼 聰社長プロフィール画像
編集後記

時間が有限であることは誰もが知っています。しかし「そうは言っても頑張れない」と思う瞬間があることも事実です。 それは、なりたい像を持てていないもしくは難しく考えすぎているからだと学びました。
抽象的でも、難しくても、なりたい像を立ててみましょう。その先に色々な道が見えてくるはずです。

編集:佐藤 由理

「株式会社エアークローゼット」概要

2014年、株式会社エアークローゼットを設立。翌年より月額制ファッションレンタルサービス『airCloset』を開始した。20年にはメーカー公認の月額制レンタルモール『airCloset Mall』、23年にはディズニーアイテムのファッションレンタル『Disney FASHION CLOSET』、24年にはドレスレンタル『airCloset Dress』を提供開始。22年に東証グロース市場へ上場。

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