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事態を好転させるために、
環境を変えるよりも重要な“あること”とは

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#人に興味を持つ#成長を急がない#課題解決のカギは“自己理解”

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回お話を伺ったのは、株式会社アーキ・ジャパンの代表取締役社長、吉田 周平氏です。
ITや建設、旅行、人材と多様な業界を渡り歩いてきた吉田氏が考える、“働く上で重要なこと”とは。時代の捉え方や自社経営などのエピソードから、多角的に語っていただきました。

株式会社アーキ・ジャパン
吉田 周平
吉田周平社長のプロフィール画像

1997年に大学卒業後、日本オラクルに入社。プロダクトマネージャーとしてマーケティングに従事した。後にマイクロソフトに転職し、CRM製品の立ち上げを担当。08年には旭シンクロテックに転職し、事業再生を成功させた。
18年、リクルートから独立したゆこゆこホールディングスの社長を経て、21年、株式会社アーキ・ジャパンの代表取締役社長に就任。現在に至る。

吉田周平社長のプロフィール画像

価値観の違いを理解しようとすることこそ、
年長者の務めだと思う

昨今の仕事観の変化について、どう捉えていますか。

価値観は、育った環境やバックグラウンドによって構築されるものなので、どの時代においてもジェネレーションギャップというのはあり続けるんだろうなと思っています。
だからこそ「最近の若者は…」の一言で片づけてしてしまうのではなくて、若い世代との違いを理解し、どうしたら彼らの心に刺さるのかを考えることが重要ですね。

例えば若者が会社を辞める理由のトップは「自分がその仕事に向いてなくて、成果を出すのが難しいから」ですが、では「自分が向いている仕事って何?」と問うとはっきりと答えられない人が多い。

自分の強みや弱みがわからないということは、今の仕事に強みを活かせていないかもしれませんよね。だからパフォーマンスできないのかもしれない。つまり、環境を変えるよりも先に“自己理解”が必要なんです。

でも自己理解には時間がかかる。昔から「ひとつの会社に3年」と言われてきた理由はここにあるのではないでしょうか。やっぱり年単位で経験を積んでいかないと、本当に合っているのかどうかなんてわかりませんから。
こうした仕事への価値観は、世代間の大きな違いだなと感じます。

その違いが生まれたのはなぜだと思いますか?

「タイパ(=Time Performance)」という言葉に代表されるように、時間効率性が尊ばれ、求めたものがすぐに手に入ることが当たり前となったからではないでしょうか。

わからないことがあればChatGPTが答えてくれるし、ぽちっとすれば翌日には荷物が届く。“待つことが無い”から、自分の仕事に対する評価や成長も急いでしまうのかな…それはすぐに出るものではないのですが。

あと派遣業界に絞ると、派遣先でちょっと叱られただけで自信を失くしてしまうことも非常に多いですね。「自分は役に立てない」と思い込んだり、周囲からの目を過剰に意識していたたまれなくなり、最後には辞めていく。

彼らが不安になるのは、自分の軸ではなく“他人軸で評価してしまうから”だと思います。イイネ数で投稿の価値を計れる、SNSの影響も大いにあるのでしょう。
価値観や判断基準を他人に委ねず、自分の軸を持って「自分にはこういう価値がある」ということを武器や拠り所にしてほしいなと思います。それにはやはり、自己理解が大事です。

自分も相手も“理解しようとする”文化が
根づいていることが嬉しい

御社の皆さんにもそうしたお話はされているのでしょうか。

はい。日々想いを伝えていくことはもちろん、自社の研修体制としては内勤社員向けに「自己理解」をテーマとした2日間のワークショップ、エンジニア社員向けには3週にわたる「スタートアップ研修」の一部に「自己理解」に関連したカリキュラムを組み込んでいます。

自分がその仕事を通じて成し遂げたいことは何か。それは社会からどのように求められているのか。その仕事には自分の得意をどう活かせそうかという、3つのポイントによって、個人の仕事観_“何のために働くのか”を表現してもらうんです。

100人いたら100通りあって良いですが、会社のパーパスと少しでも重なっている部分があるとより良いですね。
「会社の方向性」と「人生の目的」が重なると、「やらされ仕事」じゃなく「これをやりたいから働く」と考えられるようになる。それこそが当社で働く意味であり、同時に楽しいと感じられるようになると思います。その「重なり」を体感できることは、その人にとって大きな原動力になると思いますよ。

そしてお客様から感謝されたり、社会にポジティブな影響を与えられたりするようになる。非常に充実した働き方ですし、人はそれを感じるために仕事しているんじゃないかなと思います。

素晴らしいですね。そんな教育を受けた社員の皆さんは、どんな方が多いですか?

私は親バカで、つい贔屓目で見てしまうので、お客様や外部の方へ伺うようにしているのですが…(笑)
最近はお取引先やエージェントの方から「アーキ・ジャパンの社員はしっかりしている」「この会社なら安心だと思える」と言っていただけて有難かったですね。

あと、当社に面接へ来られた求職者から「面接官の方が、自分のことを一生懸命知ろうとしてくれた」と言われたんです。これも嬉しかった。
粗探しではなく、その人の良さを引き出そうとたくさん話を聞いてくれて「ここがあなたの魅力ですね」とフィードバックしてくれたと。これは本当に嬉しかったです。

この業界では特に「人に興味を持つこと」が大事です。私が指示することなく、社員皆がそのことを共通認識として持ってくれているとわかり、感動しました。ああ、やっぱり親バカですね(笑)

自己理解は他者理解をも深め、豊かな働き方を叶えてくれる

“自己理解”に関して、自分だけではなく他人にも向けられるというのは素敵ですね。

そう。自己理解をできるようになると、他者理解も深まっていくんですよね。
誰しもなんとなく合わない人っているじゃないですか。その違和感が嫌悪感につながって、あまり関わらないようにするというのが普通だと思います。

でも自分の資質を理解していれば「自分はこういうところがあるから、この行動をする」「あの人は違うものを持っているから、違う行動をとるのは当たり前」だと、冷静に見られる。
合わない人に対して、感情的になるのではなくて、受け止めて尊重できるようになるんです。

これってどの会社でも大切ですよね。1人ではできないことも違う人がいるからこそ実現できるというのが、組織で働くメリットですから。

今後も、こういった当社の価値観に共感いただける方が仲間になっていただけたら嬉しいです。スキルや経験はあまり関係ない。ひとつの価値観のもと、違うものを持った人同士で働けるというのは、とても豊かなことだと思います。

編集後記

自己理解と他者理解。言葉だけ見るとうっかり「よく聞く話」と流してしまいそうですが、その重要性を実はよく理解していなかったことに気づかせていただきました。
そしてそれは難しく、一朝一夕でできることではないからこそ、取り組む意義があるのかもしれません。
20代は、つい急いでしまいがち。しかしその過程をも楽しめるようになったら、働くことや人生がもっと楽しく、豊かになっていくのではないでしょうか。

編集:佐藤 由理

「株式会社アーキ・ジャパン」概要

2007年に設立された、建設業界特化型の人材派遣会社。全国にサービスネットワークを構築し、技術者の派遣や転職支援を行っており、主要取引先は全国の主要企業約2,100社以上にのぼる。
同じアーキ・ジャパンホールディングスのグループ企業には、建設教育研修事業・採用コンサルティング事業を行う株式会社アクト・ジャパンがある。

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