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「世代のトップ10%に残る努力を」
30代以降突き抜けるための、シンプルな思考法

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#“イタイ”人を増やしたい#売上利益の最大化#勝負は“最初の10年”

株式会社アシロ・中山 博登氏にお話を伺いました。
「働きたくない人を無理に働かせる必要はない」というド直球な一言からスタートした本インタビュー。中山氏の仕事観を掘り下げていく中で、その言葉の真意が見えてきました。“働く”へポジティブな人もネガティブな人も、心にボッと火をつけられる_そんな記事です。

株式会社アシロ
中山 博登
中山 博登社長のプロフィール画像

1983年、京都府生まれ。日本大学法学部卒業後、株式会社ワークポート、株式会社幕末(現:イシン株式会社)を経て、27歳で2009年11月に株式会社アシロを設立、代表取締役就任。事業を順調に成長させ、2021年7月、東証グロース市場へ株式上場。

中山 博登社長のプロフィール画像

最初の10年は本気で“世代のトップ10%”に残る努力をせよ

“働く”ことをネガティブに捉えたり、敬遠したりする昨今の風潮をどう捉えていますか。

働きたくない人を無理に働かせる必要はないのではないでしょうか。自分がやったことは10年20年経った時に必ず返ってくるので。
ただ“やりたくない”っていうのが、僕には理解できない。だってすごく面白いかもしれないのに、なぜやる前からやりたくないと結論付けられるのかがわからない。もったいない気はしますね。

あと、苦手な仕事はいくらやってもパフォーマンスが上がらないので、そのうちやらなくてよくなります。そうしたらまた別のことを頑張ればいい。自分が得意か苦手かわからないうちに決めつけない方がいいなと思います。

その判断が、特に学生にとっては難しいのではないかなと。

1つ言えるのは、どれだけやっても上手くできないことって“苦手”なんですよ。
でも中には、うんと打ち込んでみたら、パフォーマンスは上がるけれど、ちょっとキツイみたいなこともあるじゃないですか。そういうことは続けたほうがいいと思います。

だいたい年間60万人が大学から社会へ飛び出しますよね。例えば年収を指標にするなら…世の中で年収1000万円を超えるのは3%なので、新卒60万人のうち1万8000人、予備軍も含めて10%で考えたら6万人。そのトップ10%に入ろうと踏ん張り続けられれば、年収1000万円を超えていくんですよ。

踏ん張り切れない人から「キツイ」と倒れていくので、キツイだけなら踏ん張り続けて10%まで残ればいいんです。

10%に残るまで踏ん張る_シンプルですね。

もう1つ言えるのは、そうやって踏ん張り続けていたら、32~33歳頃からチャンスをいっぱいもらえるようになってきます。
その頃にはもうキツくなくて、ただただ楽しいだけなのに給料もらえる、みたいな状態になってくる。だから頑張ったほうがいいのは32~33歳までの10年ぐらいなんですよね。それも最初の3~5年ぐらいは差がひらきやすいので、スタートダッシュをかけたほうがいいとは思います。

スタートダッシュが上手くいくと、30代中盤から仕事が楽しくなってくるので、どんどん差がひらいて、ひっくり返せなくなるんです。

中山 博登社長インタビューの様子

成果主義ではないけれど、
最低限“狼がいるかわかるまでは歩く”

若者に向けて会社選びのアドバイスを頂けますか。

評価に納得感のある会社がいいのではないかなと思います。
本人の「こういうふうに評価されたい」という想いと会社の評価制度がズレてしまうと、本人は頑張っているつもりなのに評価されないみたいなことが起こるので。自分がやりたいこと・やるべきことをきちんとやって、それが評価される会社が良いと思います。

御社はどんな考え方で評価をされているのですか。

僕らは“関わる人絶対幸せにしようぜ”っていう会社なんですよ。“関わる人”は社員も対象で…社員の幸せを考えると、やりたい仕事ができて、自分の意見が受け入れられて、それによって評価されて給料も上がっていくという環境が良いのではないかと。
それに、売上や利益があることで、ユーザーのことも、顧客のことも考えられる。関わる人を幸せにしようと思える。

だから“売上利益の最大化”が僕らの目指すべきところで、そこを軸に評価しています。
しかし、売上や利益が上がるなら騙してもいいのかって話にはならないよう、倫理観や顧客愛といった行動指針は明確に設けていますが、それさえ守れば自由にやってもらって構わないという会社です。
逆にいえば、それらを守らずに上げた売上や利益は、評価しない組織ともいえます。

成果主義ということでしょうか?

ちょっと違いますね。成果が出ない時はどうしてもありますから、成果が出たかどうかだけだと結構息苦しくなってしまいます。

でも、成果を出すためのプロセスとしてやるべきことってあるじゃないですか、それをやらないと成果が出ないと決まっていること。それをちゃんとやろうぜって感じですね。
あの山まで行かないと狼がいないことはわかってるんだから、山までは歩こう。途中で帰ってきて「狼がいそうでした」はダメだけど、行った結果いたのならしかたない。行ったことを評価してあげようという考え方です。

そんな中山さんにとって“働く”とは?

単純に“生きるためにやらなきゃいけないこと”だと思います。
だって昔の人は「俺はなんのために狩りへ行くんだろう」なんて考えなかったと思うんです。腹減ったから狩りに行くに決まっている。それは現代も一緒ですよね。働かなかったら食えねぇじゃんって、それだけです。

社員がつい「アシロはさ」と
言いたくなってしまうような会社に

今後はそうした考え方をできる人を採用していきたい?

そうですね。あとは“イタイ”人を増やしたいと思っています。
イタイっていうのは、友達に自社を紹介する時「アシロはさ」って言っちゃうような人です。僕が矢沢永吉的に「中山はさ」って喋っている状態ですね(笑)

世の中には、自社への愛が強くなりすぎて会社自体が概念みたいになっているような企業がありますよね。
例えば「リクルート」や「光」と一般名詞を聞いただけで、周囲でさえなにか意味を感じるのは、中の人間がそれぐらい熱烈に愛しているってことなんですよ、会社を。
それぐらい愛しているって、イタイを超えてもはやかっこいいじゃないですか。

だからみんなにも「アシロはさ」って言ってもらえるような会社を目指したい。そういう愛を持てるイタイ…いや、かっこいい人を増やしたいと思っています。

中山さんのお話はとてもシンプルで、考えすぎなくていいんだと、少し気が楽になりました。

答えが欲しくなるじゃないですか、これはこうだって。
でもどうしても答えを導き出せない問いってあって、それを導き出せると思うこと自体が横柄だと、僕は思います。
世の中が結論付けられない理論があるなら、そこを深く追求しても答えは出ない可能性が高い。それならそこは曖昧なままでいいんですよ。

その代わり、クリアになる部分だけをもっともっとクリアにしていけばいい。逆に言うとそこへの努力は惜しんだらいけないと思います。

編集後記

誰しも思い悩むことはあります。それは悪いことではないと思います。でも私も、悩むことで“頑張っている気になっていた”時期があったような気がします。それは貴重な10年の浪費に他ならないのだと気づきました。
答えがないこと、どうしても成果が出ないことは一度脇に置いて。クリアになる部分へ打ち込むことだけを“努力”と呼び、継続していこうと思いました。

編集:佐藤 由理

「株式会社アシロ」概要

2009年設立、12年よりベンナビ離婚のサービスを開始。その後も相続・労働など多様な弁護士ポータルサイト、キャリズム・浮気調査ナビなど派生メディアを立ち上げ。20年には子会社㈱trientにてHR事業を開始(その後アシロに吸収合併)。また子会社㈱アシロ少額短期保険にて、弁護士保険事業も開始。21年に東京証券取引所マザーズ(現:グロース)市場に上場。23年には㈱ヒトタスを設立し派遣事業を展開。

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