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失敗が凝縮されていた20代で得た極意
「営業とは、ディレクターである」

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#売り込まず人に入り込む#営業の極意#異業種転職

CEOの仕事観を聴くメディア「CEO VOiCE」。今回お話を伺ったのは、株式会社エイトレッドの代表取締役社長、岡本 康広 氏です。
「子ライオンが崖から落とされるようにして営業の世界に入った」と話す岡本氏。システムエンジニアだった同氏が一転して営業職に就いた理由、「失敗が凝縮されていた」と表すほど過酷だった20代を経て、今なにを思うのか_たっぷり語っていただきました。

株式会社エイトレッド
岡本 康広
岡本 康広 氏のプロフィール画像

1990年よりSEとしてキャリアをスタートしたのち、営業に転身。
1994年に株式会社ソフトクリエイトへ入社するも、2度同社を離れ、富士ソフト株式会社にてソリューション営業、合同会社DMM.comでは3Dプリント企画営業やロボット事業を立ち上げ、事業責任者を歴任。
2017年にソフトクリエイトグループへ再々入社し、翌年株式会社エートゥジェイの代表取締役副社長に就任。2019年6月より現職。

岡本 康広 氏のプロフィール画像

営業人生は“人と話すのが好き”という一点から始まった

岡本さんのキャリアについて、詳しく聞かせてください。

学生時代はパソコンが好きだったので、システムエンジニアとして日立ソフト(※)へ新卒入社しました。でも実際にやってみたら、黙々とプログラムを書くのはつまらなかったんです。それより他の部署とやりとりをする時間が楽しくて、その時に“人と話すのが好きだ”と気づきました。

僕は人と話すのが好きだ、得意を仕事にしたほうがいいんじゃないか、それには営業かもしれない。そんな単純な思いが、転職のきっかけでしたね。

(※現:株式会社日立ソリューションズ)

1社目がソフトクリエイトですか?

いえ、最初の転職先は電話機を飛び込み営業する会社でした。しかも基本給がなくて売り上げが給料に直結する、いわゆるフルコミッション制だったんです。
生活がかかっていたので、とにかく訪問件数をこなしました。1日40~50件回って、間違えてヤクザの事務所に飛び込んでしまったこともありましたね(笑)

お話を聞くだけでも大変そうです。

私は高卒の田舎者で世間知らず。まだ当時は会社や人を観察する余裕がなかったんでしょう。でも、厳しさを最初に知れたのは良かったのかもしれません。
今後もこの生活を続けられるかと考える中で、もともと好きだった“コンピュータの知識を活かせる場所がいいな”と考えてたどり着いたのが、ソフトクリエイトでした。 (笑)

人に入り込む、人とつながることでモノは売れていく…営業はディレクターである

SEから営業、その中でも“好きなことを活かせる営業”へ。2回目の転機ですね。

はい。会計システムとパソコンやネットワークシステムをセットで売る営業をしていました。そこでのある出来事が、僕を変えたと思います。

詳しく聞かせてください。

初めて受注になったお客様を訪問して、発注していただいた会計ソフトをセットアップしていたのですが(当時は簡単なセットアップは営業自らがやっていました)、なかなか上手くいかず…その夜はデートの予定があったかなにかで、時計をチラチラ見てしまっていたんです。

そうしたら次の日会社へ「岡本さんの態度ダメだよ、ふざけるな」と電話があって、上司と一緒に謝罪へ伺いました。
最終的にお客様はわかってくださって「いつもちゃんとやってくれてるのに、昨日はどうしたの?気を付けたほうがいいよ」「これで上司とごはんでも食べなさい」と5000円を渡してくださったんです。

この時お客様の偉大さを知ったし、それからは非常に素直になりましたね。
クレームやお叱りを頂くとは、相手の感情ではなく自分に非があったということ。そう反省できるようになってから、営業が楽しくなっていきました。

ターニングポイントだったのですね。

今思えば、20代に失敗が凝縮されていました。
門前払いされたりテレアポで断られたり、失敗も嫌な思いもいっぱいしましたが、その中で重要なことを数多く学べたように思います。

大切なのは、商品を売り込むのではなくて、人に入り込むことです。
まず自分がお客さんに興味を持てば本当のニーズが見えて来るし、お客さんからもお悩みを相談していただいて新たな需要を見出せる。それが仕事につながります。 色々な情報を仕入れては必要としているお客さんへ伝える、よりお客さんのお役に立てるよう社内で連携することもまた然りです。
そして自分の力で解決できないことは、社内のあらゆる人に協力をしてもらう。ディレクターだと思うんですよね、営業は

自分の売上のためではなく、相手の立場に立って行動すれば、まわりまわって返ってくる。 言葉にすれば当たり前のことかもしれませんが、自分の失敗から気づいて学びにできたからこそ、今も心に残っているのだと思います。

岡本 康広 氏の写真

若いうちに“フルスロットル”を経験しておかないと、一生頑張れない

そうした経験は、社員の皆さんに話されているのでしょうか。

その点は少し難しいなと感じています。
伝えたいことはたくさんあるのですが、受け手に耐性がないと押し付けになってしまうじゃないですか。価値観が多様化しているので、個々への伝え方がわからないというのもあります。

最近は、普段から口を出すのではなく、困った時に助けてあげるくらいがちょうどいいのかもしれないと思うようになってきました。今後、試行錯誤していきたいです。

若い世代に大事なことはなにかと聞かれたら、なにを伝えますか?

自発的に動いてどんどん経験を積んでいくことです。
僕は子ライオンが崖から落とされるような形で営業の世界に入りましたが、あまたの失敗が知識や経験になって、それをお客さんに還元して、僕も学びを得てという、経験と学びの良い循環の中でキャリアを重ねてこられました

失敗が怖いと言って嫌がる人もいますが、それはもったいない。一度やってみれば、心配事のほとんどは不要だったと思えるし、素晴らしい学びを得られるはずです。

ただ歳のせいか最近疲れやすくなってきて、なかなか全力投球できないなと感じます(笑)
やっぱりフルスロットルでできるのは若いうちですし、だからこそ今やっておかないと一生頑張れないのではないでしょうか。 もし頑張りたくても一歩踏み出せない人がいるなら、ぜひ勇気を持って飛び込んでみてもらいたいなと思います。

編集後記

失敗を語る岡本氏の表情は明るく、すがすがしく、乗り越えた先の未来を見せていただいたような気持ちになりました。 岡本氏のお話を伺うと、挑戦する時に必要なのはスキルでも実績でもなく“思いきり”だけなのではないかと思えます。

たとえ“失敗”と言われる結果になったしたとしても、その経験は糧となって、あなたを少し強くしてくれるはず。心配やリスクは足元に置き、一度飛び込んでみませんか?

編集:佐藤 由理

「株式会社エイトレッド」概要

ワークフローソリューションベンダーとして、稟議書をはじめとした社内申請・承認業務の電子化を行うワークフローシステム「AgileWorks(アジャイルワークス)」「X-point(エクスポイント)」及び、クラウド型ワークフロー「X-point Cloud(エクスポイントクラウド)」を開発・提供中。
これらは企業規模や業種・業界を問わず、これまでシリーズ累計4,500社を超える企業・公共機関(特殊法人や行政、学校等)に導入され、ペーパーレス化や業務効率化の推進に貢献している。

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