CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回お話を伺ったのは、株式会社ビースタイル ホールディングス・三原 邦彦氏です。
「期待を超えるビジネスパーソンに」という力強い一言から始まったインタビュー。三原氏の哲学を紐解いていく中で、働くことの本質や本当の面白さが見えてきました。就職活動中の学生、キャリアに悩む20代の方へぜひ読んでいただきたい記事です!
携帯電話も洋服も食べ物も…世の中には“会社がつくりあげたもの”があふれていますね。価値あるものは支持され、そうでないものは淘汰されていくというサイクルがある中で、仕事とは「いかに世の中にとって価値のあるものをつくるか」なのだと思います。
そして“働く”とは、価値あるものをつくるための手段でしかない。だから“働く”こと自体よりも、その結果にフォーカスすることが重要だと考えています。
20代の方によく「仕事内容は何ですか」と聞かれますが、私は「どんな結果を出したほうがいいですか」と聞くほうが本質的ではないかと思います。
どれだけお客さんを幸せにできたのか、売上を積んで利益を生み出せたのか…そういう結果をつくり、期待を超えることこそが仕事であり、そうした働きをできる人こそ真のビジネスパーソンだと思います。
だから本来「どんなことが期待されている会社なのか」「どんな期待に応えることがミッションなのか」と尋ねるべきだと思いますし、それを追求することこそが、私の“働く”ということにおける価値観です。
でもそれを実現するにはやはり、相当な能力が必要。私はいつも「“ポータブルスキル”を高めよう」と伝えています。
私が重視しているポータブルスキルは、センス(感情を想像する力)、アクション(行動する力)、コミュニケーション(対話や交渉する力)、そしてブレイン(考える力)です。個人が結果を出すにも、組織で結果を出すにも必要な能力だと思います。
ポータブルスキルはどんなビジネスにも通用するので、20代は仕事内容にこだわるよりも、ポータブルスキルをしっかり高められるような会社を選ぶといいのではないでしょうか。
世の中も自分の価値観も変わっていく中で、その時々で取り組みたい仕事やテーマは変わるかもしれませんが、ポータブルスキルがあれば恐れず新しい道を選択できる。
20代のうちにどれだけストレッチをかけられるか。向上心を持って高められるかによって、30~40代の仕事の仕方が全く変わると思います。
周囲の期待を超えようと、死ぬほど働いていました。1週間ぐらい帰っていなかったんじゃないかな。「24時間働けますか」と謳うCMが流れていて、それがカッコイイと肯定されていた時代でしたからね。
今は長時間働くことが良いとは思いません。
仕事でも勉強でも、多くの刺激を受けることが、成長し期待を超えるビジネスパーソンになる1つの要素だと思います。その際に重要なのは、向上心と成功体験です。
よく「情熱を持てるものを見つけたい」という声を聞きますが、そんなものは見つかりっこない。向上心と成功体験を持って働く中で生まれるものではないでしょうか。だからこそ、本当に楽しく没頭して働ける会社に入ることがとても良いことなのではないかと思います。
人生を通じてワークライフバランスを取った方がいいかなという気はします。
今後世の中が全体的にインフレーションしていくことに伴い、給与水準も上がっていくと思いますが、みんながみんな高い給与を得ることは難しいと思うからです。
お金がなければ好きなことはできないので、20代では時間と心身をドンと投資して、実力やお金、人脈、他者評価といった資産をどんどん獲得し、とにかく期待を超えるビジネスパーソンになれたほうが良いでしょう。ワークライフバランスや本当の豊かさとは、その上で実現できることだと思います。
そうですね。大事なのは、向上心と自己の理想を持っているかだと思います。成長とは結局「どんな自分でありたいか」ということ(=自己の理想)にほとんど比例していると思うんです。
当社でも「ボトルネックを突破する」ことは成長する上で重要な要素だと捉えています。
向上心と自己の理想を高く持っていると「こうありたい」と思い、努める=ボトルネックをなんとか突破しようとするので、そういう方が仲間になってくださったら良いなと思いますね。
ボトルネックを突破するのに、頭の良さはあまり関係ありません。自分で足りないところがあっても、周りの力を借りられればたいていのことは解決できるじゃないですか。
だから“自分の頭が良い”ということより、他人に気持ちよく力を貸してもらえるような人間力があるか(ポータブルスキルにつながる部分)とか、そうまでしても解決しようと思えるかということ(自己の理想・向上心)が大事なんだと思います。
「会社から与えられたミッションは必ずクリアをして、評価される人間になりたい」っていうのが1番大きかったと思います。社長になりたいとか、起業をしたいという想いはありませんでしたね。
私は執行役員になるのも社長になるのもとても早かった…確か29歳頃だったのですが、それはやっぱり期待をしていただいたのだと思います。その期待に応えたいという気持ちがある中で、周囲には優秀な人がいっぱいいて…彼らとどこで差をつけるかといったら、当時20代の私には“逃げない”ってことしかできませんでした。
ただその結果信頼していただいたので、あれはあれで良かったんじゃないかなと思います。
世の中は、困難に立ち向かって努力する人を応援するようにつくられているんだと思います。
そしてそれは能力ですらない、価値観です。20代は能力がないのでたびたび逃げたくなる。でもだからこそ、粘り強く立ち向かうという価値観を醸成することが大事なのではないでしょうか。
能力やナレッジは価値観の上にあるもの。能力の有無に固執せず、ポータブルスキルと価値観を20代のうちに醸成することで、30代以降が拓けてくるのだと思います。
社会人になると、自らの“足らず”へ否応なしに向き合わされる日々が始まります。自分のためになるとわかっていても辛いのは、辞めるという選択肢が頭にあるからなのかもしれません。
能力がないなんて当たり前。だからこそまずは“向き合う”と、心に決めてみましょう。そこから少しずつ、前へ進んでいけるはずです。
編集:佐藤 由理
2002年に設立、パートタイム型人材派遣サービスを開始。
主婦・主夫に特化した求人情報サイトや、ハイキャリア向けのパートタイム型派遣サービス等、その時代の社会問題や人々の不便に合わせたサービスを次々にリリース。
14年以降は「働きがいのある会社」ランキング ベストカンパニーにも度々選出される等、多数の賞を受賞している。