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AIや時代に呑まれない!
価値ある仕事を“生み出す側”の人材になるには

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#終身雇用できる会社に#AIに代わられない人材へ#生きる力を育む

コムソフト株式会社の代表取締役社長・手嶋 洋介氏にインタビューしました。
富士通のOS開発を主業務としてスタートし、現在は金融業界・通信業界・公共領域で国内有数企業を相手に幅広く業務システム構築を手掛けているコムソフト。入社以来その成長を見つめてきた手嶋氏に、ここ20年の仕事観の変容に対する所感や仕事を生みだし続けるためのヒントを伺います。

コムソフト株式会社
手嶋 洋介

1997年12月にコムソフト株式会社へ入社し、金融システムや通信キャリアの業務システムのエンジニアとして活躍。プロジェクトや部署を跨ぎ、横断的に精力的なマネジメントを行うなど内外に垣根無く幅広く活動。
2010年より第二ソリューション部長。13年以降第一システム事業部長、事業推進本部長、取締役、常務取締役を歴任し、2019年 4月代表取締役社長に就任。

異業種転職をきっかけに、
ITの世界へどんどんのめりこんでいった

手嶋さんは20代の頃、どのように働いてこられたのでしょうか。

大学時代に不妊治療や免疫の研究をしていたので、初めは「学んだことを社会の役に立てたい」という想いで医薬品営業の会社へ入社したのですが、仕事を通じて他人の生き死にが見えてしまうことがしんどくなって…当時勢いが出てきたIT業界へ転職しました。

未経験から転職をされたんですね。

はい。転職当時は業界自体非常に人手不足で、未経験者もとにかく現場へ出て鍛えられるような状況でした。他人の倍働いて他人の倍成長するという世界で、月に250時間ぐらい働いていましたね。
しかしながら、大手企業でさえ大きなタンスのようなコンピューターを使い顧客管理をExcelでやるのが当たり前だった時代に、システムを構築していくのは大変やりがいがありました。

2~3年ほどすると様々な知見が増えてきて「そのシステムのここは自分が詳しい」「割とできるんじゃないのかな」などと感じるようになり、その分野において責任感が増してきて、どんどん仕事へのめりこんでいった記憶があります。特にシステムにトラブルが起きると「自分が解決しなくては」と使命感に燃えて(笑)とにかく仕事が楽しくて仕方ありませんでした。

自ら“価値ある仕事を生みだす”力が必要な時代が到来する

そうした働き方をしてきた手嶋さんから見て、Z世代の仕事観についてどう思われますか?

率直な感想としては「稼ぐことへの執着が弱いな」と思います。いい車に乗りたい、美味しいものを食べたい、ブランド物を身に着けたいといった大きな欲がない。どちらかというと楽をしたい、ゲームや推し活の時間を取りたい…そのためにワークライフバランスをとれる会社で働きたいと考える人が増えて働くことへの意欲も薄くなってきているように感じます。プライベートを充実させるのは決して悪いことではありませんが、そちらに偏ってしまうとかえって彼らにとってマイナスになるのではないでしょうか?

どういう意味か、詳しく教えてください。

例えばiPhoneが登場した2007年当時はスマートフォンがこれだけ普及するとは予想もつきませんでしたよね。同じように、この先の20年もそうだと思います。しかも今は生成AIが出てきて、既存事業はどんどんAIにとって代わられていく未来が見えています。

これまでのように、黙っていても仕事が与えられる時代ではなくなっていきます。今後は“仕事をどう生み出していくか”を考えられるようにならなければいけません。価値ある仕事をつくり、利益を出せる能力が必要ということです。今「これくらいでいい」という働き方をしていては、そういった能力を伸ばすことはできず、将来彼ら自身が困るのではないかと考えています。

なるほど…そうした“価値ある仕事を生み出せる”人材になるためのヒントをいただけますか?

ヒントになるかはわかりませんが、私は「なにかを知りたい」という欲求がとても強いんです。仕事に対しても趣味に対しても「なぜこうなっているのだろう」と考えるのが好きです。

知的好奇心が強いと、興味を持って・思考を深めて・行動して…というサイクルに入る。新しいアイディアの創出や自身の成長につながっていくのではないかと思います。

当社内にもそうした人材が育っていって、いずれ会社の中枢を担ってくれるようになると有難いですね。私も50歳を迎えて次の世代へ引き継ぐことを考えているのですが、外部から優秀な方に入っていただくよりも、今いる社員の手で会社を継承していける方が嬉しい。論理的に考えることが好きな方がいれば、育成していきたいと思います。

手嶋 洋介社長が話している様子

自社と若者の未来を見つめて…
社員の生きる力を育んでいきたい

今後の展望について教えてください。

給与や待遇面、人生のステージなどが変わると、転職もしくは退職するのが当たり前の世の中になりつつありますよね。当社は時代と逆行して、終身雇用を目指していきたいと考えています。

例えば「子育てに集中したい」「SES以外のことをやりたい」という人がいたとして、時短勤務で働き続けられたり、社内で起業できる制度があったりしたら、当社で活躍し続けられますよね。やっぱりせっかく入社してくれた社員とは長く一緒に働きたい。そのために、色々な働き方ができるように会社の基盤や制度を整えていきたいと考えています。

また現在SEの業界は求人が多いので、若者が「とにかく社会に出なくては」と飛び込んでくることもあります。そうした子たちに対してはプログラミングを教えるだけではなく、もっと仕事の可能性を伝えたい。チャレンジの機会を豊富に設けたり仕事の生み出し方を教えたりしていきたいと思っています。去年はM&Aを実施し新しい事業をスタートしましたが、そこから別の事業を展開すれば“仕事をつくる”ことになりますよね。若い世代にはそんなことも経験してもらいたい。

先ほどの、未来へ向けたお話とつながりますね。

はい。時代が激しく移り変わる中で、1つのことだけをやっていては生き残れないと思います。本当に残る仕事とはなにか…考える材料として、色々な知見や体験、気づきを与えてあげたいです。

若者への力強いエールですね…愛を感じます。

私たちも、できる限り彼らをサポートします。若者には「明日の自分は今日の自分より少しでも良くなっている」と思って、もっと前向きに、色々なことに興味を持って働いて欲しい。
日々反省も勉強もしますし、悲しいこともありますが「明日はもっと良くなる」と信じていると、50歳になっても成長できます。知ろうとする気持ちを大事にしてください。人生が楽しくなり、生きる力が強くなっていきますから。

編集後記

私たちは、あらゆるITテクノロジーを当たり前のように享受しています。しかしその“当たり前の現在”は、こんな未来を「想像もしなかった」と語る大人たちの手によって築かれてきたものです。
今、未来を築く順番は私たちに回ってきたのだと思いました。1人ひとりが“価値ある仕事”をすることで、この国の未来は拓かれていくはず。若い世代が先頭を切って、仕事を与えられる側から生み出す側になりましょう。

編集:佐藤 由理

「コムソフト株式会社」概要

1981年設立。金融、通信、公共の各分野でシステムの提案、開発、運用、保守を行う。
高い技術力と提案力で、顧客の経営戦略に沿った最適なシステムを提供しており、多くの大手企業と信頼関係を築いている。社員の成長と働きやすい環境作りに注力し、情報技術を通じて社会貢献を目指している。

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