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ゲーム好きが高じて大学を中退、起業へ
「好きこそものの上手なれ」の極め方

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#給与≠自分の価値#好きを仕事にできた人の話#快感ポイント

フィグニー株式会社代表取締役、里見 恵介 氏にインタビューしました。里見氏は「ゲームが好き」という気持ちをエンジンとして、大学中退、プログラマーへ転身、フィグニー設立まで歩んできたといいます。
誰もが一度は憧れ、しかしどこかで諦めてしまう「好きを仕事にする」ということ。里見氏が叶えられたのはなぜなのか、そして、今見ている未来とは_?

フィグニー株式会社
里見 恵介
里見 恵介社長のプロフィール画像

同志社大学経済学部中退後、プログラマーの道へ。以降、EC、動画配信、ソーシャルオンラインゲーム、ビッグデータ解析基盤、VRなどの開発現場を経験。2008年経産省主催プログラミングコンテスト最優秀賞を受賞。
2017年にフィグニー・デジタルオーシャン株式会社(現:フィグニー株式会社)を設立。システム開発を幅広く手がけるほか、最先端の技術開発で注目を集めている。

里見 恵介社長のプロフィール画像

ゲーム好きが高じて大学中退、しかしそんな自分を救ったのもゲームだった

小さい頃からゲームがお好きだったそうですね。

新作が出るとクリアするまで学校に行かないような子でした(笑)
19歳で初めてパソコンを買ってもらって、ファイナルファンタジーシリーズにどっぷりハマりました。大学へはすぐ行かなくなり、1日16時間ぐらいゲームをしていました。

インターネット上で何千人もの人間が同じ空間にいて、チャットをして、1つの目標を目指す。強い敵を倒すのも、難易度の高いダンジョンに挑むのもありだし、ゆっくり釣りをするのもいい。僕はそこで暮らすようにして遊んでいて、すごく楽しかった
だけどやりすぎてしまって大学を中退することに…働かなくてはいけないと思い、ゲームを辞めました。

ゲームを辞めるのは、大きな決断だったでしょう。

3ヶ月くらいは放心状態でしたね。どうしてもゲームを諦めきれず、ある時「こんなに人を夢中にさせるゲームをつくれるなら、生きていてもいいか」と思いました。
それでプログラミングの学校へ行かせてもらったら、自分に向いていたしとても楽しかった。そのままプログラマーになり、上京したという経緯です。

まさに、好きこそものの上手なれ、ですね。

情熱を注ぐのはなんの問題もなかったんです。
ゲームは眠くても腹が減ってもやっていたし、それはプログラミングも同じでした。プログラミングを好きになったことが、僕にこの人生をくれたと思っています。

里見 恵介社長が板書している様子

「このままじゃ悔しいんじゃないの?」と思えたら、好きは武器になる

ただ、好きで楽しむのと、作る側に回るのはまた別だと思います。好きを仕事にできる人は、なにが違うのでしょうか。

全然違いますね。好きってだけで仕事にするのは難しい。悔しいからクリアする、みたいな方へ舵を切れるかが分かれ目かなと思っています。

僕の場合、親父や兄貴がゲーマーだったので自然とゲームに触れるようになりました。強い敵と出会っても、放り投げない程度にはゲームが好きだったから、悔しくてクリアしてと繰り返すうちに大好きになっていったのだと思います。
プログラミングもそこなんですよ。
難しくても、できないままは嫌だから向き合って強くなった。強くなったら楽しさがわかるようになって、また次へって感じでスキルを上げてきた気がします。

ちょっとした好きがきっかけにあって「このままじゃ悔しいんじゃないの?」と思えて、乗り越えてもっと好きに、強くなって。このサイクルを回せるから仕事にできたのかな。

なるほど、起業されたのも好きが高じてですか?

そうかもしれません。
ある時、プロデューサーとして社長へプレゼンして、ゲーム事業を立ち上げることになったんですよ。2年がかりの計画を、10人採用させてもらってスタートしました。
でも3か月目で突然「予算がなくなった」と社長から言われ、よくわからないままチームを解散させられたんです。

それで「お金がいくらあるか、どれだけ使えるかを把握できていなければいけない」と学んだのと、プログラマーとして1人でやっていこうかと考えたものの、やっぱり「デカいものをつくるにはチームが必要だ」とも思いました。
権限とチームがないと自分が本当につくりたいものはつくれないと思ったことが、起業のきっかけでしたね。そこからはもうひたすら、好きと悔しいのサイクルを回してきました。

里見 恵介社長とメンバーが会議をしている様子

素晴らしいゴールを目指すなら、給与より「内的資産」を重視すべし

里見さんならではのキャリアですね。そんな里見さんから、若い世代へ会社選びのアドバイスをいただけますか。

給与が1番大事だった時代はとうに終わって、今は給与をもらいながら自分の内的な資産を貯めるという時代です。特に若いうちは、目先の給与ではなく、いい意味で整っていない会社へ入ることを薦めます

整っていないと、自分で考えて答えを出していかなきゃいけないですよね。苦労が多い反面、内的資産が貯まっていく。そうして、レベルを上げるように何回か転職していけば、最終的に素晴らしいところ、より高い給与へたどり着けると思います。

もう1つ大切なのは、給与イコール自分の価値だと思わないことです。
そう思ってしまうと、今の環境が嫌になったり、逆に適切なタイミングで次のステージへ行けなかったりします。選択を誤らないために、今の自己価値はどの位置にあるのか常に考えておくべきだと思います。

次のフェーズへ行くため、異なる快感ポイントを持つ人と出会いたい

今後の展望を教えてください。

設立7年目を迎え、会社も変革の時が来ていると感じます。

現状うちには、似たタイプの人が多いと思います。良く言えば協力的、裏を返すと主体性に欠けるような人たちです。
僕がわがままなので上手くバランスが取れていましたが、組織を大きくしていくにあたって、僕みたいなタイプも育てたいと思うようになりました。

時々僕とケンカをしたとしても、人を育てるとか、会社が成長することに喜びを感じて、チームを率いていけるような人が欲しいかな。今までと快感ポイントが違う人をつくっていきたいです。

「快感ポイント」ってパワーワードですね。

すごく大事にしています。僕は、快感ポイントを刺激され続けることが仕事をしていける最大の理由だと思っていますから。

今後は多様な快感ポイントを持つ人たちが入り混じっていくと思いますが、理念に共感して叶えようと力を注いでくれている今の社員たちはもちろん、これから出会う新しい人たちともワンチームとなり、成長していきたいと思います。

里見 恵介社長とメンバーの集合写真
編集後記

仕事には困難がつきものです。「好きなことを仕事にしたい、だけど嫌いになってしまったらどうしよう」と考える人も多いのではないでしょうか。

里見氏は、悔しいと思った時かじりつけるくらいには好きであることが分岐点だと語ってくれました。
なんとなく諦めるのではなく、まずは漠然とある「好き」の解像度を上げてみる、まずは一歩だけ踏み込んでみましょう。もっと好きになる道が見えてくるかもしれません。

編集:佐藤 由理

「フィグニー株式会社」概要

2017年、フィグニー・デジタルオーシャン株式会社として設立。翌年よりWebアプリケーション・スマートフォンアプリケーションの受託開発をはじめ、IT/技術コンサルティング事業、CG制作事業など、次々に新事業を展開してきた。
21年以降東京ゲームショウに3年連続で出展、2022年からは新オフィス設立・事業部を発足するなど、事業拡大を加速させている。

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