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自分にとっての“天職”を見つけるために必要な、たったひとつの能力とは

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#再現性のないことにトライする#eスポーツ#エンターテインメントの可能性

近年ますます盛り上がりを見せているeスポーツ業界をリードしている会社のひとつが、GLOE株式会社です。CEOの谷田 優也氏にインタビューしました。
終始目を輝かせながら「ゲームが生み出すエンターテイメントって、他のどんな娯楽にも負けない価値がある」と語った谷田氏。そのお話からは、熱量を注げるものに出会うために必要な考え方や、挫折を力に変えるヒントが得られました。

GLOE株式会社
谷田 優也
谷田 優也社長のプロフィール画像

IPコンテンツプロデューサーなどを経て、2015年に日本初のeスポーツ専門企業として前身のウェルプレイド株式会社を設立し、代表取締役に就任。
2021年にライゼスト株式会社と合併し、ウェルプレイド・ライゼスト株式会社に。2022年11月にeスポーツ事業で日本初の上場を果たす。2024年2月にGLOE株式会社に商号変更。

谷田 優也社長のプロフィール画像

絶えず創造し続け、業界の未来を切り拓いてゆく

現代の仕事観への所感をお聞かせください。

僕は「20代で詰めこんだ仕事のスキルが30代の自分の価値を決め、その答え合わせの結果が40代に出てくる」と先輩に言われて育った世代です。20代の頃は「こんなに働くのか」と思うくらい働いていました。
そのやり方が必ずしも正解ではないとは思いますが、追い込み、チャレンジさせてくれる環境があったからこそ成長できたのも事実です。

今は労働時間の規制が厳しくなってきているので、自ら律し、成長の機会を掴みにいくしかない。努力の仕方がわからず悩んでいる方は多いんじゃないかなと感じます。

そうしたことは、御社でもお話されるのでしょうか。

はい、生きているとは“下りのエスカレーターに乗っている状態”だと思います。何もしないとどんどん後ろに下がってしまう。自分自身が変化し仕事を創造し続けることの大切さは、社員にも意識して伝えるようにしています。

また、eスポーツ専業の上場企業は当社だけなんです。正解のない新しい事業領域でビジネスを展開しているからこそ、必然的にチャレンジせざるを得ない。これは個人の成長という観点でも、プラスに働いているのではないかと思います。

かけがえのない仕事と出会うために必要なのは“面白がる能力”

その事業領域に飛び込んだのはなぜですか?

僕はエンターテイメント全般が好きなんです!
“娯楽”という、本来生命に必須ではない時間を獲得するために、すさまじい熱量を費やした人たちしか生み出せないものに物凄く惹かれます。
なかでもゲームはエンターテイメントの集合体というか、音楽として感動できるし、ストーリーも楽しめる。ゲームが生み出すエンターテイメントって、他のどんな娯楽にも負けない価値があるんじゃないかと気づいたんです。

僕自身、ストリートファイターというゲームを通じて知り合った仲間と起業したんですよ。
ストリートファイターが面白かったというより、「ストリートファイターを面白いと思っている人に出会えたから」一緒に会社を作りたいと思えたというか。
そういう意味で、ゲームがもたらす価値っていい意味で恐ろしいし、ゲームをやっていてよかったと思える瞬間があること自体が素晴らしいと思います。

谷田 優也社長とメンバー

多くの若者が、谷田さんにとってのゲームのようなものに出会いたいと悩んでいます。アドバイスをいただけますか?

最初から出会えるわけではないと思います。大事なのは“面白がる能力”ではないでしょうか。
ドラゴンクエストで例えるなら、新卒は勇者レベル1ですね。会社の中には魔法使いのスペシャリストもいれば、戦士のスペシャリストもいて、スペシャリストに魔法の使い方や攻撃のしかたを教わることもあるでしょう。

そういうなかでいろんなことをまんべんなくやっていけば勇者として成長していけるかもしれないし、魔法を極めた人にすごい世界を見せてもらったことで「魔法使いになりたい」と思うかもしれない。
これしか興味がないと思い込んでしまうと、可能性を狭めることになります。触れるものすべてを面白がりながら、その中で楽しいと思える何かを見つけてほしい

ですから、若い方々にアドバイスをするなら…さまざまな人が活躍している会社へ入るのが良いと思います。そういう会社にいれば、自分よりはるかに優秀な存在に触れたときに「この人に勝ちたい」という思いがわいてきて、自分を成長させるきっかけになると思います。

仲間と共に「ゲームが好きでよかった」と
思える人生を実現したい

その仕事観は、どのようにして築いてきたのですか?

母一人子一人の家庭だったので「母を養うことが自分の人生だ」と思って働いてきたのですが、26歳の時母が亡くなってしまい、なんのために働いているのかわからなくなりました。
その時、生前母と交流のあった人たちからたくさん「あなたのお母さんがいたから…」と感謝を伝えられて…“他人から感謝されるって、何物にも代えがたい良質なエネルギーを生むんだな”と思ったんです。

それからは母のためと限定せず、ご縁ができた人に喜んでもらうということが、僕の仕事の軸になりました。相手にどうしてあげたいか、そのために僕はなにができるかと考えながら働いています。

とても力強いですね。

まあ、生きていればそんなこともありますからね。
大変なことやつらいことがたくさんあって、死んじゃおうかなと思ったこともあります。でもそれを選ぶことはいつでもできる。
反対に、自分が“こうありたい”と思う姿は、努力し、色々な人を巻き込んで成長していかないと実現できない。そういう難しくて再現性のないことを選ぶほうがワクワクするのだと、母のことをきっかけに、改めて気づかせてもらいました。

ドラクエだって、ボスは一人じゃ倒せないけど、4人でパーティを組めばクリアできる。その過程も、クリアできた瞬間も最高に楽しい。仕事も同じです。
僕は今、より多くの人が「ゲームが好きでよかった」と思える人生を実現したいと、心から思っています。それを一緒に叶えたいと言ってくれる社員がいてくれて幸せです。彼らのためにも、もっと頑張っていきたいと思います。

編集後記

人を強くするのは悲しみや困難だということを、多くの大人が知っているでしょう。しかし実際自分の身にそれが降りかかった時、強さに変えるのは並大抵の努力ではできないと思います。
人生におけるさまざまな出来事を咀嚼し、持ち続け、前を向く谷田氏の言葉に勇気づけられました。難しい方を選ぶ方がワクワクする。私も、そんな社会人になりたいです。

編集:佐藤 由理

「GLOE株式会社」概要

2015年設立。「ゲームをきっかけに人と社会をHAPPYにする」をミッションに掲げ、ゲームやeスポーツのイベント企画・運営、プロゲーマー・クリエイターのマネジメントやキャスティング、eスポーツに関する各種サポートなどを手がける企業。
ゲームが身近にある生活に寄り添い、eスポーツ分野で唯一の上場企業として業界のさらなる発展に寄与することを目指している。

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