CEOのキャリアから、その仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回は、株式会社カナミックネットワークの山本 拓真氏にインタビューしました。
CEO就任からわずか2年で上場を果たした山本氏から見た働くことの本質や、就活の考え方などを聴きながら、多角的に“成功者になるための価値観”を紐解きます。特に就活生、働き始めたばかりの20代必読の記事です!
私生活が充実してこそ仕事に身が入るというのは事実ですが、仕事が“自分の時間を奪う悪いもの”として解釈されているのはすごくもったいないと思います。
私はヨーロッパやアメリカ、アジアなどへよく出張をして、現地の方々と話をします。彼らにとって“ワークライフバランス”の意味は「自分の人生を豊かにするために仕事しようぜ」なんですよね。
シリコンバレーや深センへ行けば、夜中もずっと電気がついています。優秀な大学を出た天才たちが、連日深夜まで働いているんです。
メディアの影響もあるかもしれませんが、日本人はワークライフバランスの本質を理解できていないのではないでしょうか。むしろ頑張りたい人が頑張れない社会になってきていると感じます。
新卒で富士通へ入社し、インターネット黎明期にたくさんの仕事をさせてもらいました。当時は時には100時間超えの残業もいとわないという状況下で働いていました。普通の人の倍近く働いていたと思います。
苦労を乗り越えたことでチャレンジ精神が培われましたし、インターネット黎明期にギュッと詰め込むように働いたことでスキルがつきました。カナミックの上場には、富士通で働いた5年分の経験が活きていると思います。
もちろん今は働き方改革をしないといけませんし、AIやICTを活用して当時の私と同じ成果を短い時間で出せる時代になっていますので、生産性向上を目指していく時代だと思います。
ただカナミックの役員に就任した後は、富士通時代よりも働いていますね(笑)単なるベンチャーが社会的信頼を得ていくには、成果を上げて言葉に説得力を持たせなくてはいけませんから。そこを乗り越えて上場したことによって、会社の信用も上がり、社員もとても仕事しやすい環境を作れたのだと思っています。
はい。質と量の両方に価値があると思いますが、やはり量はとても重要だと考えていますし、海外の優秀層も”量”をこなしています。
学生へこういうことをお話しすると「ブラック社長だ」と思われてしまうかもしれませんが、私は「みんなこそ“ブラック受験生”だったじゃないか?」と思うんです。
東大、慶應・早稲田、MARCH…良い大学へは、学校の授業を受けているだけで合格できたのでしょうか?仕事でいう“残業”のように、塾に遅くまで残って相当な時間勉強したでしょう。
高いお金を払って塾へ行って長時間勉強して、苦しみながらもなんとか「受かりました」って感動して泣いていた子たちが、なぜ社会人になった瞬間「ワークライフバランスが大事だ」と言って、努力することに嫌悪感を覚えるのでしょうか。
そもそも多くの人は、より良い将来を掴むために難関大学を目指したはず。例えば年収1,000万円以上稼げる社会人は上位5%だと言われています。偏差値でいうと67ぐらいです。それだけの位置にいくには大学受験と同じで、他の人よりも相当頑張らなくては届かないわけです。
かつて志望大学に入るために頑張ることができた子たちが、ビジネスに頑張らないというのがすごくもったいないなと思います。
働くって素晴らしいことですよ。
勉強は自分の記憶力や理解を試験でアウトプットする、自分がいい点数を取るための行動なのに対して、仕事は、能力を磨くことで会社や世の中の役に立って、社会貢献して人を幸せにしながら職位や給与が上がっていく。素晴らしいじゃないですか。
そしてそれは、自分自身の価値を高めることにもなると思います。
給与だけを求めて転職を繰り返していると、目的がお金になってしまうので、仲間と成功や社会に自分たちが残した功績を喜び合うことから遠ざかることがあります。仲間と一緒に諦めずにチャレンジしてなにかを作り上げる経験をした人は、本当に貴重な人財になっていきます。
成果を出し、同時に成功させる力が身に着けば、仕事や人生はどんどん好転していきます。
はい。社員は家族よりも長い時間一緒にいますからね。
「私たちは人生を共有している仲間なんだから、みんなで幸せになろう」「自分たちの仕事が社会を明るくしている誇りのある働き方をする集団であろう」と、常々話しています。
そうやってプライム上場もしましたし、昔から一緒に働いている仲間たちも成功を実感し、職位も給与も上がるという好循環を続けてきました。今後も気持ちはベンチャー企業のまま、皆で成長していきたいと思っています。
前提として、就職って“職業に就く”ことなのに、学生さんは会社のブランドや安定性ばかり見ている。“就職”ではなく“就社”をしているように感じます。
エンジニアになりたい。その上で「エンジニア大手の富士通へ行って腕を磨きたい」「医療・介護ITを作りたいからカナミック」と選ぶのはわかりやすい。だけど「TOYOTAか三菱商事かアクセンチュアか」って、職業の違う社名が並ぶのはちょっと違和感があります。
TOYOTAで何の職業をしたいのか、商社に入ってどういう仕事内容で社会貢献をしたいのか、コンサルになって誰の何の課題を改善したいのか?“就職”ってそういうことだと思います。
私も就活の時大手鉄道会社から内定を頂いたのですが、ある方から「電車が好きなの?」と聞かれて、別に好きではないなと。無意識のうちにブランドで選んでいた=“就社しようとしていたな”と気づきました。
それで、色々な会社のシステムをつくれる富士通の方が、やりたいことに近そうだと思って入社したんです。あの時鉄道会社に入っていたら、今の私はないでしょうね。
その職業を通じて自分がなにをやりたいか考え、それに適した会社を選べたら、未来は広がっていくんじゃないでしょうか。
どうぞ!こういうことはみんなで議論していって、日本全体を底上げしていかなくてはいけないと思っていますので、大歓迎です。
次なる日本を成功させるのは、若者たちの頑張りです。彼らが存分に頑張れるステージを作っていくことが、我々大人の役割だと思っています。今日の話も、少しでもお役に立てれば嬉しいです。
日本の未来を背負っているという事実は、しばしば煩わしく感じます。しかしそれは、自分が向き合えていないからなのかもしれない。その責任と正面から向き合い行動すれば、いつしかワクワクできるようになるのかもしれないと思いました。
「若者に、もっと本質を見てほしい」
山本氏の真意や背景を知り、またその力強さ・明るさに触れて、明日からの働き方を見直そうと思いました。
編集:佐藤 由理
2000年に設立された企業。主な事業内容は、介護・医療分野におけるクラウドサービスの提供、システムインテグレーション、経営コンサルティング、Webコンテンツの企画・制作、また、24時間フィットネスジムを運営するアーバンフィット社、Ruby言語に特化したシステム開発を行うRuby開発社をグループに持つ。
クラウドサービスは全国の介護事業所で広く導入されており、自治体や医療機関との情報連携も強みとしている。東京証券取引所プライム上場企業。