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住宅業界のイノベーターに学ぶ、
“切り拓く”ために重要な考え方

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#もっとワクワクする未来を#自らストーリーを描く#泥臭くやり続けた10年間

CEOの仕事観を聞く「CEO VOiCE」。今回は、住宅業界DXの草分け的存在である、瀬口 力氏にお話を伺いました。
ネット集客、VRを使った顧客への提案をいちはやく始め、現在は土を原料とした3Dプリンター住宅の開発や、ファッションブランドとのコラボ住宅など、住宅業界にイノベーションを起こし続けている、株式会社Lib Work。その歴史と未来について、たっぷり語っていただきました。

株式会社Lib Work
瀬口 力
瀬口 力社長のプロフィール画像

熊本大学大学院法学研究科修了。弁護士を目指して法律を学んでいた学生時代、株式会社瀬口工務店創業者である父の大病をきっかけに住宅業界へ足を踏み入れる。
社長就任当初の1億円程度から141億円(2023年6月期)にまで売り上げを拡大し、社員数も4人から331人にまで増。2019年には東証マザーズ(現東証グロース)上場を果たした。著書に「2代目工務店社長の住宅イノベーション」。

画像引用元:株式会社Lib Work公式サイト(https://www.libwork.co.jp/company/

瀬口 力社長のプロフィール画像

時代に合わせたやり方で、
常に“結果を出せる組織”で在り続ける

Z世代や現代の働く価値観についての所感をお聞かせください。

ワークライフバランスを重要視し、福利厚生や休日を気にされる方が多いですね。それ自体は悪いことではないのですが、仕事も充実したものでないと、バランスは保てないと思うんです。
せっかく働くなら、自分がワクワクできる、働きがいのある仕事をしたほうがいい。若い人にはぜひそんな仕事に出会ってほしいです。

また「成長できる会社に入りたい」と話される学生さんも非常に多いですね。
それは素晴らしいことのようで、根底には「私をどう成長させてくれますか」という気持ちが見えます。お給料を頂くわけですから、本来は「会社からなにを与えてもらえるか」ではなく「自分はどんな対価を提供できるのか」と考えるべきではないかと思います。

ただ時代によって価値観が変わることは当然なので、僕らもそこに適応するべく、今は人材育成プランをつくっているところです。

若者の価値観に合わせていく、と。

それも僕らの役目だと思いますよ。頭ごなしに「君たちの考えは間違っている」と言っても、良い方へは進みません。

僕ら大人は、若者を世のため人のために貢献できるような人材に育てていかなくてはいけない。そのためには、やり方は時代に合わせて変えていかざるを得ないのだと思います。
歯がゆい気持ちもありますが、これまでの価値観に囚われず、常にやり方を最適化して“結果を出せる組織”をつくっていこうと思っています

可能性を信じ、泥臭く挑戦し続けた上場までの16年間

ご自身が20代の頃はどのように働かれてきましたか?

元々弁護士を目指していたのですが、訳あって大学院2年生で父の工務店を継ぎました。
大学院では商法・会社法を専攻していたこともあり、弁護士に代わる目標として“上場”を掲げて走ってきましたね。

大きな目標を追うモチベーションは何だったのでしょうか。

安定志向に走るのが、楽しくなさそうだなって思ってしまったんです。
皆と同じような道へ行ったら、生涯年収もキャリアパスもなんとなくわかってしまうじゃないですか。きっとこんな人生を辿るんだろうと、頭から想像ついてしまうのが僕は嫌だった。
自分の人生なので、自分でストーリーを描きたいなって。

でもやっぱり上場は難しかったですね。東京と違って情報も人的リソースも足りないので、自ら学び模索しながら、16年もかかってしまいました。
上場には、住宅業界で既に上場している大手企業と当社の差別化が重要で…当社はインターネットを使ったビジネスモデルを認めていただいて、なんとか上場できました。

10年上手くいかない中で、辞めずに貫き通したのがすごいなと思います。

そうですね。チラシや見学会などリアルでの営業もしながら、軌道に乗るまでは相当泥臭くやりました。
2007年にiPhoneが発売されたことでインターネットに親しむ人が増え、検索もしやすくなったことがブレークポイントになって上場への道筋ができたと思います。

大きな失敗は経験されましたか?

ありますよ。たとえば人通りの多い繁華街に店舗をつくったものの、全く集客できなかったんです。世の中の流れが変わってきたタイミングで、ファミリー層がいなかったことが原因でした。

でもその後ファミリー層がショッピングセンターに集まっていると気づいたことから、業界で初めてイオンモールにモデルハウスを建てたところ、ヒットしました。
これは、繁華街での失敗があったからこそ。失敗を失敗で終わらせず、すぐに切り替えて次に活かすことが大事だと学びました。

DX化で、住宅業界にもっとワクワクする未来をつくってゆく

今は新たに、3Dプリンターハウスへ挑戦されているとか。

はい。僕らがやってきたことはDXの歴史と重なっています。

最初は集客をホームページで、その後お客様への提案にCGやVRを活用してきました。今後は住宅販売における最後の過程、建築もDX化していきたいと考えているんです。

3Dプリンターを使えば、どこでも同じ品質のものを作ることができる。一貫した高い品質を保つことができます。働き手が減っている建築業界を救う一手になると思っています。

本当にイノベーターですね!そのアイディアはどこから来るのでしょう?

上場前は特にお金がなかったので、アイディア勝負でした(笑)。
ポイントとしては、異業種を分析して取り入れてきたことでしょうか。Amazonやトヨタ、ユニクロなど、異業種の大手企業をたくさん研究して、自社の事業に活かせないか考えながらやってきたので、同業他社とは違う方向性に成長を遂げられた気がします。

思えばいつも正解がわからないことに取り組んでいますが、ワクワクして仕方ありません。今後も既存の枠にとらわれず、心躍る方向へ舵を切り、住宅業界をリードしていきたいと思います。

編集後記

どんなことに対しても、固定概念にとらわれず柔軟に考え、決めたらそれを貫くこと_いわゆる“しなやかさ”が大切なのだと、瀬口氏のお話から学びました。そしてこれは、誰にでも通ずることです。
頑張ろうとするとつい視野狭窄になってしまいがちですが、時には立ち止まり、仕事や状況を広く見てみるのが良いかもしれません。

編集:佐藤 由理

「株式会社Lib Work」概要

1997年設立。インターネットやVRを活用した戸建て・住宅・不動産販売を手掛けている。
WEBを駆使した新しいビジネスモデルで成長し、2015年には福岡証券取引所に上場、その後2019年6月18日に東証グロース(旧:東証マザーズ)に上場を果たした。

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