産婦人科医・産業医でありながら、ルナドクター株式会社の代表取締役社長も務める、近都 真侑 氏にインタビュー。
医師を目指したきっかけから、一見挫折とも捉えられるような出来事を「気にならない」と言えてしまうメンタルのつくり方、現在の事業に懸ける思いまで、詳しく聞きました。
今岐路に立たされているあなたにこそ、読んでいただきたい記事です。
僕、おばあちゃん子なんです。そのおばあちゃんから「お医者さんになるんやで」と言われて育ってきたのが大きいと思います。
「心から感謝されてお金をもらえる仕事って、実はあまりない」と「医者というのはすごく良い仕事だよ」と繰り返し話されて。まあ、刷り込みですよ(笑)
あとは、高校生の時に堀江貴文さんを見て「かっこいいな」「おもろいな」と思ったのもあります。球団を買収しようとしたりテレビ局を買おうとしたりしていて、僕からしたら「この人はなんて自由なんだ」と。
当時は「医学部行ったらめっちゃ勉強せなあかんやん」ってほんまにずっと悩んでいたのですが、堀江さんを見て、選択肢が多い方にしようと思って理系に進みました。理系に行ったら社長にも医者にもなれるやんって。
好奇心が強いんです。人生なんて暇つぶしだからこそ、自分で色々なことを経験してみたいと思っています。
学生の頃は、居酒屋とか引っ越しとか治験とか、とりあえずたくさんアルバイトをしました。フレッツ光の代理店で営業をしたこともあります。トップの営業成績を取れたので、そこから個人事業主にもなりました。医学生なのに何やってんねんって言われていましたけど(笑)
そういう性格が今の仕事にもあらわれているかなと思います。会社も、人数の割にはやっている事業がめちゃくちゃ多いですね。
うーん。浪人や留年は挫折といえば挫折ですが、自己肯定感が高いので、たいていのことは気にならないですね。よく聞く「死ぬこと以外かすり傷」という言葉、本当にそうだと思っています。
億単位の詐欺に引っかかったこともありますが「これも人生かな」みたいな。
やっぱり世の中って、良いやつばかりじゃない。悪意を持っている人も一定数いて、それも含めて社会だと思うし、その中で自分がどういう選択をするかで人生は変わっていく。
人生って選択なんですよ。結果なにが起きても自分の責任だと考えられると、もうやるしかないと思えてきます。
たとえ信じていた人に裏切られたとしても、その人と関わったのも自分のせいだし、悪いことをされたらそうできちゃうような仕組みだったことに問題があるし。
心を踏みにじるのは良くないとは思いますが、その人を信じるって決めたのも自分ですから。
選んだ先で起こることはどうしようもできないからこそ、自分で選ぶし、その責任は自分で背負う。それだけです。今話していて、僕の自己肯定感はここから来ているのかなと思いました。
若い人たちの価値観は大きく変わってきていますよね。
僕らの世代は「良い車に乗って良い家に住んで、かわいい子にモテたい」「そのためにはお金がかかるよね」っていうのが一般的な価値観でした。
でも今はNetflixやYouTubeがある。お金をかけなくても、ひとりでも楽しく過ごせるし、吉野家も美味しいじゃないですか。
欲求が減って、なんでも個で完結できる時代なので、他人への興味だったり、稼ぎたい意欲を持つ人が少なくなってきているんじゃないかなって。
個人の価値観ですから否定はしませんが、そういう人ばかりが増えていくと日本が成長しないよなという危機感はあります。
さっきお話しした、自責で考えられるかは結構見ます。
他人のせいにする人には、他人はついていきませんから。部下が悪いことをしたら、上司のせいですよ。僕自身「会社で何か起きたら悪いのは僕だ」というマインドでやっています。
ただこれは前提として、やっぱり僕らはヘルスケア事業をしているので、患者さんのためにどうしたら良いかを1番に考えられることも大事です。
売上やインセンティブのためではなく、どうしたら患者さんに喜ばれるかという軸で動ける。自分ではなく、他人に矢印を向けられる人を採用しているつもりです。
特に美容医療だと、顧客単価ばかり優先しているところもあって、嫌な思いや後悔をする患者さんが後をたちません。うちはそうではなくて、良いサイクルを回せる会社で在りたいと思っています。
患者さんを第一に考える。その結果患者さんが何回も通ってくれたり、お友達を呼んでくれたりして、うちの商売も潤い、社員の給料が上がっていく。
他人に矢印を向けることで、最終的には自分に返ってくるかもしれないけれど、これってみんなにとってポジティブなサイクルですよね。
そういう人を自社で採用していきたいし、世の中にも増えていったら良いなと思います。
仕事って、ご飯を食べるためにするのと自分がやりたいことをやるっていう2つの観点があると思います。ライスワークとライフワークのバランスで成り立っていて、配分は人それぞれで良い。だから仕事観は、人の数だけあるんですよね。
僕に限って言うなら、稼ぐことへの執着はあまりなくて。今は社長として自分のやりたいことをさせてもらっていますから、働くっていうのは“自己実現”かなと思います。
そうですね。
表現が難しいですが、女性は生理とか更年期といった面倒なことが多いじゃないですか。それなのに子育てや仕事で時間も取れず、なかなか病院へ行けない。妊娠・出産のために我慢しなくてはいけないことが多すぎる。こんなの、おかしいと思うんです。
弊社は、女性のヘルスケアへのアクセスを円滑にするために創業しました。
いつでもどこでもオンライン診療や検査が出来て治療まで出来る。またオフラインでアクセスのいいところに出店することで、女性医療のめんどくさいを徹底的に排除しようと、会社を経営しております。
女性が少しでも楽に生きられて、人生を楽しめるように。これからも、時代やニーズの変化に合わせたサービスを届けていきたいと思います。
医師を目指した理由から、現在の事業まで。近都氏のお話の中心にあったのは「心から感謝される仕事を」という、たったひとつの志です。
特に社会人になったばかりの時期には、つい「ライスかライフか」と、思考が偏ってしまいがち。しかし大切なのはどちらを取るかではなく、ライス・ライフのバランスが変化する中でも、志を持ち続けることなのかもしれません。
もしあなたが今迷っているのなら、目前の仕事を見つめる前に、まずは自分の志が何か、明確にしてみるのはいかがでしょうか。
編集:佐藤 由理
2020年9月創業のスタートアップ企業。創業1年目から億単位の売上高を達成し、2期目には百十億円の売上・数十億円の利益を達成するなど、急成長を遂げている。
「女性の健康に関する面倒くさいを徹底的に排除する」をミッションとして、スマートクリニックの拡大・オンライン医療システムの開発など、テクノロジーと医療を掛け合わせたサービスを展開中。