株式会社Massive Actの代表取締役社長、高萩 遼介氏にインタビューしました。
設立1社目で圧倒的な営業成果を上げながらも、1年半で組織が瓦解。その経験から学んだ"組織づくりの本質"。その学びを活かして生まれたのがMassive Actだと言います。キャリアの裏側にあるストーリーに迫る中で、仕事を通じて“自分を磨く”とはどういうことかがわかってきました。
新卒で入社した会社では、WEBプロモーション領域全般を経験させていただきました。
デジタル主軸のため、あらゆる数値が可視化され、新規施策やPoC、キャンペーン展開後の新規獲得・売上伸長といったフィードバックサイクルがあったこと。また業界全体が成長市場という背景も手伝って、個人としても成長実感が得られ、とてもエキサイティングでした。
スキルタグ拡張を目指して転職した2社目のコンサルティングファームでは、扱うテーマが経営・事業レイヤー、論じる施策の関わる先が全社員や取引先、そのお客様…と非常に大きいため“討議を重ねてGOALを紡ぎ出していく”“1つひとつ着実に実行をしていく”というスタンスで…。
学べることは本当に多かったのですが、根がせっかちなので「やっぱり(前職のような)“やったことが結果にすぐ反映される”ほうが自分には合う」と考えるようになりました。
そんな時、様々なご縁があり、デジタルエージェンシー事業を行うRise Project社の設立に至ったんです。
財務やクライアント開拓など色々悩んでヒリヒリしたけれど、自分のやったことがすぐに結果となって返って来るし、それがとても“手触り感”があり楽しかった。そういう意味で、会社運営は性に合っていると思いました。
そうですね。Rise Projectは、端的に言うと上手くいってしまったんです。
垂直立ち上げに成功したばかりに、ビジョンも掲げず、方向性も指針も曖昧なままで走り続けていました。内政に目を向けず、クライアントだけに意識が傾倒してしまったんですね。
でもそんな代表にメンバーがついてくるわけがない。「どこを目指しているんですか」と言われたことを、今でも覚えています。結局、1年半ほどで瓦解しました。
その後「自分ひとりのほうが稼げるし、それでいいや」と思ってひとりで働く期間が2~3年ありました。
でも、先輩や周りの経営者仲間がメンバーと向き合ったり悪戦苦闘したりしながら、より大きな仕事を成し遂げている様子を見るにつけ、だんだん「チームでやらないとダメなんだな」と思うようになっていったんです。
はい。気持ちの積み上げ式で、考えが変わっていきました。
“早く行きたければ一人で、遠くへ行きたければみんなで”って、アフリカのことわざにありますよね。
遠くってきっと“長く生きること”で、経営におけるそれって長く価値を提供し続けることじゃないですか。クライアントにバリューを出して、税を納めて、メンバーの給与を上げて、成長機会を創出して…という循環をつくりたい。
そのためには持続可能な組織が必要だと思い、当時1人でやっていた(のちのMassive Actとなる)会社を組織化することにしました。
はい。本格的に採用していくならまずは「正しい倫理観に基づいて働く環境を整えなくては」と思ったんです。
そう考えてから、すぐに弁護士事務所・社労士事務所・税理士事務所と顧問契約を結んで、(社員はゼロの状態でしたが)オフィスは神宮前のビルを借り、500万円くらいかけて内装も整えました。綺麗なオフィスじゃなきゃ人は来ないよなと、昔の脳みそで(笑)
そしてそういった行動は“従業員満足度を大事にする”ためのことであり、“メンバードリブン”だなと。以降、今日まで綿々と大事にしてきた考え方です。
従業員満足度を高めることでメンバーのパフォーマンスが上がり、顧客満足度につながり、頂く対価が増え、業績拡大を通じてより大きな投資や社会貢献をできるようになります。
従業員を大切にすることは事業活動全ての起点になる、正しい価値観だと信じています。
状況によって変わってくるので、一概にこれとは言えません。
ただ、組織運営だったりクライアントへの対応だったり、その時々で自分が正しいと思う価値基準と照らし合わせて判断し、その結果どうなったかを見直していくということが大事なのではないかと思います。
未完成でいい。“正しいと思うことをやる”というスタンスを明確に持ちながら、“なにが正しいか”ということ自体は磨き続けるイメージです。
その考えは、日々のプロジェクト運営でも大切にしています。メンバーには「自分が気持ちよく思える選択をしてほしい」と伝えています。
例えば、プロジェクトの中で「このアウトプットで充分だろうか」と迷うことがあります。無形サービスならではのアウトプットレベルの話で、画一的な正解はほとんど無い状態です。そんな時、僕はメンバーに「それは自分にとって気持ちのいいレベルなの?」と問いかけます。
気持ち良くないと感じるのであれば、それは半端な品質ということ。もう一段階、二段階深掘りできるかもしれない。そういう自分の中にある「正しさ」の物差しを大切にしてほしいと思っています。
自分の中にある「正しさ」に従った選択をすることで、結果として良いアウトプットが生まれる。それが今の組織づくりの基本となっています。
人それぞれ必ず持っていると思いますよ。きっと、それを言語化できないだけです。
僕もこうして自分の考え方を話せるようになるまでに、いつなにがきっかけになったのかは正直わかりません。
おそらく、無意識のうちに蓄積されていった考えや経験をもとに形成されていて、それを言語化する機会が立場上多かったから、明確になっていっただけなのではないかと思います。
だから、自分の考えやそれに基づいてした行動を、きちんとテキスト情報として残すことが大事ですね。
言語化することも、あとから振り返ることも、価値基準を明確にし、アップデートしていくことにつながりますから。
そうですね。実行=アウトプットしたら、それは究極のインプットになるんですよ。
実行した結果新たな気づきや学びを得られて、次の行動につながる。仕事で成果を出すことも、自分を磨くことも同じ。
アウトプットとインプットを循環させていくことが重要だと思います。
「あの時はダサかった」「失敗は失敗、落ち込んだ」と、等身大で語ってくれた高萩氏。本当に気持ちのいい方だなと感じました。 自分なりの正しさが誤った方へ作用した時、素直に認められる勇気こそ、高萩氏の強さなのかもしれません。
私も“正しいと思うことをやる”というスタンスと“認める”勇気を携えて、価値基準、ひいては自分自身を磨いていきたいと思います。
編集:佐藤 由理
2017年設立。統合デジタルマーケティング・DX支援等を通じ、顧客企業の事業成長を支援。7期連続増収増益を達成し、Financial Times社の「アジア太平洋地域における急成長企業ランキング2024」マーケティング部門にて、APAC2位、国内1位にランクイン。"メンバードリブン"を掲げ働きやすい組織づくりに努めており、国内外の認定機関や、官公庁から多数の賞・認定を受けている。