CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回お話を聞かせてくださったのは、株式会社ONE COMPATH・早川 礼氏です。
仕事について「大変だなと思いながら、常にワクワクしている」と語った早川氏。その仕事観を紐解いていく中で、楽しく働くために大切な考え方やスタンスが見えてきました。
仕事をすること自体がすごく“好き”だという気持ちがベースにありますね。
また、年齢を重ねるほど「多くの人や社会に支えられて生きているな」という感覚が増しているので、社会の役に立てることをしていきたいな思ってますし、仕事はわかりやすくそれを発揮できる場所かなと思います。
フェーズとおっしゃいましたが、今のポジションに就いてからこうした気持ちをより強く感じるというのは、確かにあります。
若い頃はどうしても、クライアントや自分、自分のチームの数字ばかりを追ってしまっていました。でも代表になってからは「当社が世の中に提供できる価値はなにか」といったことを繰り返し考える中で、自然と目が社会へ向いていったなと思います。
あと最近強く思うのは“仕事に飽きない”ということ。好きの裏返しなのかもしれませんが、挑戦したり困難を乗り越えたりすることに対して「大変だな」と思うと同時に、常にワクワクしているんです。
毎日色々なことが起きる、高い山を登らなきゃいけないって面白い、本当に飽きないなと。エンターテイメントに近いワクワクを感じます。
そうですね。またもう一方で、感情の起伏があるから飽きないということもあります。
例えば新しく出した機能をユーザーのみなさんに使っていただいて「もっとこうしてほしい」といったリクエストがくると「自分たちの仕事が人の人生に影響を与えているんだな」と実感しますし、シンプルに「こんなサービスをつくってくれてありがとう」と言われた時も嬉しいです。
あと、社員が想像以上のアウトプットを出してくれたり、熱量を見せてくれたりした時の自分の感情の起伏は、めちゃくちゃ大きいんですよね。
そういう、チームで働いているからこそ生まれる楽しさみたいなことも含めて、自分は仕事好きなんだろうなというふうに思います。
社長としてなにをすればいいかわからなかったというのが、1番自分に対してショックでしたね。
異動や転職で新しい役割になった時に自分の無能さを自覚することを指す、“リアリティショック”という言葉があるのですが、まさにそういう状態になりました。
例えばONE COMPATHと同じくらいの規模の会社で、自分が部長職などに就いていれば、社長の姿が見えますよね。社長がどんなメッセージを発信しているか、どんな行動や苦労をしているかなど、なんとなくつかめると思うんです。
でも前職では、非常に規模が大きかったということもあり、社長とは年に1回すれ違うとか、広報誌や年始の挨拶などでメッセージを読むくらいで…社長はなにをすべきなのかわからないまま社長職に就いたものですから、最初は相当苦労しましたね。
経営の本を読み漁ることから始めて、あとはこれまでのコネクションを辿ったり、SNSでメッセージを送ったりして色々な社長さんとお会いしました。とにかく「社長とはなにか教えてください」と聞いて回りました。
経営者の方と話して勉強させていただくことは、今でもたくさんあります。どういう目線で仕事をしているのか、考え方などを伺いながら「そんなやり方があるんだ」「社長でもそうやって頼ることがあるんだ」といった具合で、参考にさせていただいています。
The Breakthrough Company GOの三浦さんの「Life is contents、答え合わせはまだ先」という言葉です。
苦労は色々あるけれどそれは人生という物語の中でのコンテンツの1つで、たくさんのことがあってこそ、その物語に厚みが出てくるよと、そんな意味です。
また、大事なのは物語のゴールを迎えた時にどう思えるかであって、大変なことや苦労、嫌な気持ちも10年後に振り返ると「あれがあったから今の俺があるんだよね」「あれが人生の岐路だったね」ってことはあると思うんですよね。
一喜一憂せずに「まだまだ物語の途中だ」という気持ちを持ちながらハードシンクスを楽しんでいく、前向きに取り組んでいく。すごく僕の価値観を言い当ててくれている言葉だなと、聴いた時にスッと心にはまった感じでした。
と言いつつ、吐きそうな気持ちになりながら出社することも多くありますが(笑)
でも「答え合わせはまだ先だよな」と思いながら、自分のメンタルを保っているようなところもあります。自分にとって大事な言葉です。
経営学者のジム・コリンズが書いた「ビジョナリーカンパニー」という本に、「どこに向かうかよりも誰をバスに乗せるかが重要だ」とあります。これは経営者にとってはもちろん、働く方から見ても同じことが言えると思います。どんなバスに乗るか、ですね。
会社が向かうところも大事ですが、これだけ変化の多い世の中ですから、行き先を変えなくてはいけないことも往々にしてあります。ただそうなっても、なんとかバスを押してでも新しい目的地へ向かおうとする人と働くことこそ成功の道だと。そんなバスに乗れたらいいですよね。
特に若い頃の成長は、周りがどんな価値基準か、どういうレベルを合格点として仕事をしているかということに影響される部分ってとても大きいですから、一緒に働く人が自分に刺激を与えてくれるか、成長を促してくれるかっていうのが大事だと思います。
できるだけたくさんの社員に「尊敬する上司や同僚はいますか」と聞いてみてください。その時にすぐに答えが返ってくる会社はいい会社なんじゃないかなと思います。
「実は僕の先輩にこんな人がいてね」とか「あの上司は昔からお世話になっているんだけど、新人の頃教えてもらったことが今でも自分の軸になっているんだよ」といった話を社員がイキイキとしてくれる会社は、きっと素敵な会社だと思います。
チームで働くからこそ生まれる感情について、また社長就任当初のお話を伺いながら「どんな立場・状況であっても、人を救うのはやはり人なのだ」と思いました。
早川氏の“働くこと自体が好き”という価値観の源泉にあるのは、これまで出会った人々なのでしょう。どのバスに乗るか見極め、そして乗り合わせた仲間を大事にしてこそ成長がある_この学びを、心に留めたいと思います。
編集:佐藤 由理
デジタルメディアの運営を中心に事業展開するTOPPANグループの会社。2019年4月1日、凸版印刷(現 TOPPAN)の「Shufoo!」事業を承継し、株式会社マピオンから社名変更。企業や生活者に寄り添う「ワンマイル・イノベーション・カンパニー」をビジョンに掲げる。地図検索サービス「Mapion」、電子チラシサービス「Shufoo!」、ウォーキングアプリ「aruku&(あるくと)」などを運営。