CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回インタビューを受けてくださったのは、株式会社パスル・山田 晃嗣氏です。
「僕はいつも、最初は結果が出ないんです」と語る山田氏が、どんな努力をして成功体験を積みCEOになるに至ったのか。お話を伺っていく中で、軸となる「想い」が見えてきました。
仕事を通して1人でも多くの人に影響を与えることですね。僕が考える“働く”の最終地点はそこだなと思っています。
人生の成功の度合いは、「何を得たかじゃなくて何を与えたか」で決まる、という考えが自分の根幹としてあります。
学生のときに馬術で日本一になったんですが、その成功体験が今の仕事観にも繋がっていると思います。
僕自身は落ちこぼれというか、「ビッグになりたい」という思いはありつつも、特に学問も何もできない学生でした。
そこから、たまたま馬術を始めました。本気で馬術に打ち込んで、19歳の時に日本一になって、自分の人生がすごく「特別」であると感じました。
努力もしましたが、くすぶっていた当時の自分を、引き上げてくれた人がいたから成し遂げることができたんだと思います。
その経験から、僕も人に影響を与えられる人間になりたいなと思うようになりました。
社会人1社目は証券会社に入社したのですが、そこでも最初は落ちこぼれてしまって。
入社して1年、同期が成果を上げていく中僕はほぼ結果を出せず、加えて大きなミスも起こしてしまい、2か月ほど営業活動を禁止されてしまいました。
2年目になっても、他の同期がお客さんを担当し始める中、お前に営業はさせられないからと、新卒1年目と一緒に新規開拓をすることになってしまったんです。
その時に、当時の課長が「今のお前がどういうマインドで仕事と向き合うかで、人生これから変わっていくから、くさるな」と言ってくれたんですよね。
そこで、今自分は新規開拓しかできないんだから、誰よりもとことん突き詰めてやろうと切り替えたところ、新規開拓が自分にとっての武器になって、どんどん結果が上がっていきました。
重要な新規開拓案件でなんと会社の常務と一緒に訪問させてもらえるようになり、その常務からまた営業の極意なども教えてもらって。新規営業、そして休眠顧客として引き継いだお客さんをめちゃくちゃアクティブに動かすことができるようになり、表彰されるまでになりました。
うまくいかない状況の中でも、いつも自分の人生を引き上げてくれるような分岐点を作ってくれた人たちがいました。
そして、特別な能力や才能がない人でも、強烈な想いとか努力で道は切り拓いていけると、自分自身の人生を通して感じてきました。
こういった経験から「何かしたい想いを持ちながらも、くすぶっている人たち」を、僕も仕事を通して支援できればいいなと考えるようになりました。
そうですね、もともと起業したいと思っていました。
学生の時に馬術を通じて経営者の方との出会いがあったのですが、リーダーとして生きる生き様とか、人格、磨かれた哲学、影響力とか、とにかくかっこよくて。
僕も経営者になりたいと思いました。
そのためのキャリアとして、成功した方とお会いしたり営業力を身につけたいと思い証券会社に入社し、その後、より社長と近い距離で仕事をしたいと思ってベンチャー企業に転職をした感じですね。
20代は修行の期間で30歳になったら独立しようと思っていて、ちょうど30歳を過ぎたところで昨年独立しました。
僕が一番やりがいを感じられそうだなと思ったからですね。
20代のときの自分みたいな人をターゲットにしていて。「何かやってやりたい」と思っている人たちを、本当に伸びてる会社とか社長に引き合わせられると、めちゃくちゃ喜ぶし、人生変わる瞬間じゃないですか。
転職した人と食事に行くと、「マジでよかったです」みたいに、みんなめちゃくちゃ楽しそうにしてるんですよ。
自分がやりがいを感じられそうなことって人材だろうなっていうところからスタートして、実際面白いんですけど、改めて業界としてレッドオーシャンだなっていうのは感じています。
ただ、どこの業界でも競争相手はいて、結局勝つ人は勝つし、負ける人は負けるから、自分はその中で勝ち組になればいいじゃん、みたいな思いはありますね。
とことんビジネス戦闘力が上げられる会社を選ぶと良いと思います。
明確にやりたいことがあるんだったらその道を進めばいいと思うんですけど、特にやりたいことはないけど“何か”したい思いはあるっていう人は、その“何か”が浮かんできた時に、しっかりビジネスとして形にして、推進していける力を身につけられるような環境ですね。
大前提として20代はとにかく仕事をする、鬼のようなハードワークでいいと思っています。
20代でついた差って戻らないですし、20代で人生が決まるくらいに思ってる。
僕自身、20代は仕事がっつりしたなっていう思いはあるんですが、独立してみたら、25、26歳で経営者をしていたり、わけわかんないぐらい働いている人がたくさんいるんですよ。
そういう人たちに囲まれていると、僕も20代にもっと詰め込めたことがあったんじゃないかなと、逆に反省することが多いです。
SNSの時代になっているので、仕事についても良い面だけがフォーカスされた情報が出回っている状況がある中で、そういう情報に振り回されている人が、キャリア面談をしていても多いなと感じています。
例えば楽そうでキラキラしたマーケターになろうとか、フリーランスは自由に楽しく働ける、みたいな。
楽な仕事なんてないのに、良いところだけを見ているから、隣の芝生が青く見えちゃって、ころころキャリアチェンジしちゃっている人がすごく多い。
古い考え方かもしれないですけど、僕は「石の上にも3年」じゃないですが、3年くらい本気で打ち込まないと、その仕事の本質とか価値って見えないと思っています。
周囲にある肌触りの良い情報ばかり追いかけてしまっている人に対しては、腰を据えて仕事に向き合ってみてほしいですね。
山田氏ご自身の経験に基づいて紡がれる「どんなに能力とか才能がない人でも、強烈な想いとか努力で、道は切り拓いていける」というお言葉は、とても重みがありました。
「何者かになりたい」というぼんやりとした理想を現実にするのは、他でもない自分自身である。言い訳をせず前進をされる山田氏のお姿から多くのことを学ばせて頂きました。
編集:冨樫 麦野
2023年に設立され、主に転職エージェント事業を展開している株式会社パスル。特に20代のキャリア支援に力を入れ、利用者の将来に寄り添ったアドバイスを提供している。
代表の山田晃嗣氏が自らの、大手からベンチャーへの転職経験をもとに、個々の成長を引き出す転職支援を行っている。