株式会社フィル・カンパニー、金子 麻理 氏にインタビューしました。
海外におけるキャリアを通して世界を見てきた金子氏が今、日本のまちづくりに力を注いでいるのはなぜなのか。そのストーリーに迫る中で「目前の仕事に価値/やりがいを見出すヒント」が見えてきました。
モチベーションが下がってしまっている、事業価値に疑問がある_そんな人にこそ読んでいただきたい記事です。
当時は今よりも制約が多くて、女性が働くには厳しい時代でした。
まず就活スタートの時期が、女性の方が遅い。男性が3年生から4年生の春ぐらいで就活をして、それが一通り終わってやっと女性の募集がかかるというのが普通でした。だから、私の就活の軸は“男性と同じように働かせてくれるところ”でした。
女性ゆえ/母ゆえのさまざまな制約がある中で、悔しいことも多々ありましたが、だからこそ「とにかく置かれた環境で頑張ろう」と決めたんです。色々なことにチャレンジする過程で徐々にやりたいことを見つけ、実現してきました。
今はものすごく選択肢が広がって、性別関係なく仕事にやりがいを持てる、面白い時代になりましたね。
確かにそうですね。
これだけ自由な時代で、無限大にある選択肢をどう自分のものにしていくかというのは、私の時代とは違った大変さがあると思います。
自分で選択できれば、やりたいことが少しずつ明確になり、どんどん世界が広がっていく。一方で、選択できない人は、やりたいことが見つけきれず、道が狭まっていくということが起こりうる。
新卒1年目からどれだけエンジンフル回転で努力できるかの勝負でしょうね。
フィル・カンパニーで出会ったメンバーたちの影響で事業へ熱を持って取り組むようになりました。
そもそも私が入社したのは、上場に携わってみたかったから。つまり事業内容より上場が入社目的だったのですが、一緒に働いていた人たちがそれは熱く語るので、だんだんとフィル・カンパニーの事業に対する想いが生まれてきました。
建築の役員は「フィル・パークは単なる箱じゃない」と話していました。
裏通りとかコインパーキングだけで暗くなってしまっている土地にフィル・パークを建てて、街で必要とされているテナントを誘致する。稼働すればそこに人の流れが生まれて明るくなって、街の一部になっていく。僕らはそういう土地活用の手法を提供しているんだ、と。
あとは不動産業界から来た役員は、「真摯な会社とそれを支える誠実な人間が必要だ」と言っていましたね。
聞いているうちにその1つひとつの意味がわかっていって、私たちは業界に風穴をあけるようなことをしているんだなと思いました。
当社はちっちゃな会社ですけれども、それでも日本や街を元気にできる可能性を持っているのだと、自分でも気づいていったんですよね。
はい。マザーズへ上場した時、みんな「ここがスタートだ」って言ったんですよ。
上場をゴールだと思って入社した私ですら、その頃にはもうみんなと同じ気持ちになっていて、世の中へこの事業を認知させるスタート地点に立ったような、切符を手に入れたみたいな感覚でした。
都市部にあるのにずっとコインパーキングのままの土地や、大通りからの裏手にある土地、狭小地、変形地など…日本には活用の難しい土地がたくさんあります。
そういった土地を、まちのニーズをくみ取って活用させていくことで、土地の所有者様やその建物に入るテナント様、まちに住んでいる人皆を幸せにすることができる。
こうした独自のやり方で日本のまちを活性化させていくことに、私たちの事業の価値があると思っています。
それぞれが自分の立場から「この事業を世に出す価値がある」と信じて努力しているのが、当社の良さのひとつだと思います。
事業への共感性や、成長意欲の高い方が仲間になってくださったら嬉しいです。若い方の力を取り入れて、会社をどんどん成長させていきたいと思っています。
上場しているとは言え、世間での認知度はまだまだ高くないですし、学生さんは不動産業界自体に馴染みがないので、ビジネスや採用のチャンスがなかなか広げづらいという課題があります。まずは当社を知っていただけるよう、認知度向上に努めていきたいです。
私たちはこれからも“まちづくり”事業の拡大を通じて、より良い社会/世界づくりに貢献してまいります。
多くの人が「やりがいのある仕事に就きたい」と思っているのではないでしょうか。しかしやりがいとは与えてもらうものではなく、自らが働く中で見出すものなのだと、金子氏のお話を聞くとよくわかります。
金子氏は「本当にみんなが熱かったから」事業価値を見出し、やりがいを持てたと語ってくれました。
もし今悩んでいるなら、自分の内側あるいは外の世界に答えを探すのではなく、隣にいるメンバーの想いを聴いてみてはいかがでしょう。他人の熱から、心に炎が灯ることもあるはずです。
編集:佐藤 由理
2005年に設立。14年には株式会社フィル・コンストラクション(100%出資の完全子会社)を設立したのち、16年東証マザーズに上場。
19年にプレミアムガレージハウスを子会社化し、事業を加速させてきた。22年には東証の市場区分再編により、市場第一部からプライム市場へ移行、翌年スタンダード市場へ移行。
24年1月に「まちのスキマを「創造」で満たす。」をパーパスに掲げ、まちづくり事業へ取り組んでいる。