スタートアップやベンチャー企業をHR領域で支援する企業、株式会社ポテンシャライト代表の山根 一城 氏にお話を伺いました。 胸が熱くなるお話の中で「若者は日本の財産」「憂鬱な会社こそ成長できる」「まずは自分世代のNO.1を目指せ」など、心が奮い立つような言葉をたくさんいただきました。
勇気を出して一歩踏み出したくなる、パワフルなインタビューです。
大前提として、皆さんは日本の財産であるということをわかっていただきたいです。
僕は、日本が最も成長したのはアメリカに最も肉薄した時_具体的には1988年だと考えています。当時アメリカのGDPは日本の1.34倍くらい。日本が1番イケていた瞬間でした。
そこで「ガツガツせず、上手いこと働いていこうぜ」という考え方にチェンジし、以降30年間日本は低空飛行を続けています。
つまり、僕らは今、おじいちゃんおばあちゃん世代が必死につくった貯金を食いつぶしながら生きている状態なのです。
そしてこれは、ASEAN諸国が少子高齢化に入る2050年頃までは続くと思います。その時僕ら世代は70代、このまま変わらなくても逃げきれてしまうんですよね。
はい。僕は16年ぐらい働いてきて「日本や世界を変えてやろう」と本気で思っている人には、10人ほどしか会ったことがありません。
自分が頑張っても日本は変わらないと思い込んでいる人にとって、頑張ることがバカバカしいのは理解できます。ただこのままだと皆さんや、その子孫は間違いなくとんでもない打撃を受けることになるでしょう。
ライフワークバランスとか週休3日制とか、世間は働く量を減らす方向で動いていますが、量をやらないと勝てないことは歴史が証明しています。この国や皆さんの未来は、1人ひとりが日本の財産だということを自覚し、意識を高く持って働けるかどうかにかかっていると、1人でも多くの若者にわかってもらいたいですね。
“価値観の育成”に重点を置いています。価値観とは、個人の尺度で良し悪しをつけられないものです。
例えばコミュニケーション能力やロジカルシンキングというのは、ある程度測れますよね。でも仕事にやりがいと給与のどちらを求めるか、ライフワークバランスかハードワークかなどは自分が決めることで、良し悪しはない。こういうものを“価値観”と呼びます。
他人の価値観を矯正する権利はありませんが、成功している人の価値観には共通点があるというのも事実です。僕は大人として、若い世代へそれを伝える義務があると思っています。
社員で1000万円以上もらえる人の価値観には共通点があります。スピーディーに動けること、チャレンジ精神を持っていること、0から1を生み出せること、本質を見ていること、リスペクト観点があることです。
しかし社会人としての価値観と、人としてのそれは別物。
特に社会へ出たばかりの時は、社会人としての価値観に慣れていないですし、それを身に着けるために今までの経験を否定する瞬間もある。相当辛いと思います。だから折れてしまって、現状維持を選ぶ人が多いのです。
10年以上前「憂鬱でなければ、仕事じゃない」という本を読んで、とても共感しました。“憂鬱になるのは自分の能力を超えている仕事だから、成長はその先にある”といった内容です。
野球のイチローさんも「今までで1番厳しいことを言ってくれた人とは絶対につながり続けたほうがいい。その人があなたを前に進めてくれるキーパーソンになる可能性が高い」と言っていました。本当にそうだなと思います。
最初から安全性が担保された環境で、新卒でもできる仕事をしていても、大きくは成長しません。心身にひずみは起きるかもしれませんが、成功したいなら、憂鬱になる_自分の能力を超えた仕事をどんどんくれる_会社へ入ることをおすすめします。
受け取るかどうかは本人に任せますが、原体験に囚われて世界を狭めてしまうのはもったいないと思うので、今後も伝え続けていきます。
認知のゆがみってあると思うんですよ。これまでの経験でつくられた価値観で物事を捉えて、それを正しいと思い込んでしまうこと。
でも自分が持っている情報や経験なんてほんの一部ですから、その範囲に留まるのはもったいない。色々な価値観を知っていった方が良いと思いますし、それは若手に限らず僕や組織にも同じことが言えます。
うちでは、組織で掲げているビジョン・バリュー・カルチャーの理解体現度や組織浸透度などを、メンバー全員を対象として調査しています。組織の現状を把握すると同時に、新しい案も出すんですよ。
今、自社で持っている価値観が必ずしも正ではなくて、時代の流れに合わせて改善するべきところがあるかもしれないと、常に価値観を見直し、話し合うようにしています。
うちの25卒には「25卒×HR業界で断トツ1番をとれ」と話しています。僕らは日本を引っ張っていかなきゃいけない、本気で精進しようと。
僕も、20代後半の頃に、キャリアカウンセラーランキングで3000人中1位を2回獲ったことがあります。その時に「見える景色が変わった」と感じたんです。
業界No.1を獲ったら、次は日本一が見えてくる。その先に世界が見えてくるのだと実感しました。20代で1番をとったから、早いうちに日本や世界へ目線を向けられたのだと思います。
どんな環境に身を置くかによって見える景色は全然違うし、出てくる発想も違ってくるはず。若い世代にはまず、自分の年代でNo.1になることを目指してほしい。
僕自身も“自分はHR業界で1番知見がある”という誇りを持ち、働いています。本気の仲間たちと共に、日本を変えていきたいです。
多くの人が目を背けている日本の現実から切り込んだ山根氏。その勢いに衝撃と驚きを覚えましたが、本来ここへ向き合うことは、当たり前に為されないといけないのだと、お話から感じました。
1人でも多くの労働者へこのメッセージが届き、日本の仕事観にイノベーションが起きることを切に願います。
編集:佐藤 由理
「ベンチャー採用/転職のStandardをポテンシャライトに」をビジョンに掲げ、スタートアップ/ベンチャー企業に特化した採用ブランディングやコンサルティング事業を展開。7年間で支援した企業はシード期からシリーズCまで320社を超える。
また採用ブランディングや人事採用支援に関わるノウハウや最新トレンドをe-BOOKやブログ等で惜しみなく公開し、業界の活性化をめざしている。