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新規事業の親に訊く“失敗を成功にする方法”と、
チャンスを掴む“アンテナの張り方”

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「新サービスをつくりたい」「起業したい」など、0から1を生み出すことに憧れている若者も多いのではないでしょうか。そこで今回CEO VOiCEでは、数々の事業を成功へ導いてきた、rakumo株式会社・御手洗 大祐氏にインタビュー。
失敗を次につなげるための考え方、挑戦機会を掴むにはアンテナをどう張っておけばよいのかなど、御手洗氏の経験から実践的なアドバイスを頂きました。

rakumo株式会社
御手洗 大祐
御手洗 大祐社長のプロフィール画像

96年日本電信電話株式会社に入社、企業間取引システムに関する米ベンチャーとの共同開発に携わる。その後Webサービス企業の創業、米オンラインメディア企業CNET Networks社への同社売却を経て、同社日本法人の代表に就任。2004年には株式会社日本技芸(現rakumo㈱)を設立し現在に至る。

画像引用元:rakumo株式会社公式サイト(https://corporate.rakumo.com/vision/

御手洗 大祐社長のプロフィール画像

社会貢献意欲に突き動かされ、仕事に没頭したNTT勤務時代

御手洗さんは新卒でNTTへ入社されていますね。1社目にNTTを選ばれた理由を教えていただきたいです。

もともとインターネットにとても興味があったんです。「これを起点に技術が拡がっていきそうだ」と、インターネットをパイオニアのように捉えていました。
この技術にたくさん触れられる、周囲に詳しい方がいる環境に身を置きたくてNTTを選びました。

自分で興味を持って入った業界ですから、働いているのか趣味をしているのか境目がわからなくなるくらいに没頭しました。

没頭する中で、壁とぶつかったこともあると思います。インターネットへの興味以外にモチベーションになっていたことはありますか?

「インターネットを通じて世の中を良くしたい」という想いですかね。私だけではなく、インターネットが出始めた当初から触れていた人たちは、結構“夢想家”な傾向にあるような気がします。
「みんなが楽しく暮らせたらいいな」「戦争がなくなったらいいな」と、非現実的だと思われていることを本気で考えている人たちがインターネットという膨大な可能性を秘めた手段を手にしたことで、インターネットの世界が広がっていった感覚があります。

昔から強固なインフラができると、経済的に発展が遅れている国でも学べる人が増えて成功できると言われています。当時はインターネットの普及もそのひとつと信じられていたのでしょう。

また私自身も、父の仕事の関係で学生時代に色々な国を転々としてきたんですね。転勤でシンガポールや、イギリス、ナイジェリアにも行きました。
色々な環境を見ると矛盾に気づくようになります。差別をなくすには教育が必要なのかと考えると「インフラを拡げて皆が学べるようにすれば世の中が変わるのか」「そこに寄与できたらいいな」という想いが強くなっていく。

こういう想いを持って働いていたので、仕事が楽しくて仕方なかったんですよね。

事業成功の秘訣は、失敗も気づきも肥しとして蓄えておくこと

挫折の経験はおありですか。

挫折はしょっちゅうですよ(笑)新サービスで失敗することも、会社が倒産しそうになったことも何度もあります。

中でも2009年、リーマンショックの時は苦しかったですね。
当時はインフラに根ざしたものではなくマーケティングやソリューションに近いサービスを提供していたので、予算削減の対象になってしまい…非常に厳しい状況に追い込まれました。

でもそういったピンチって、変革のタイミングでもあるんですよ。
私が気持ちを切り替え事業を整理して、この機会に別の領域に切り込もうとスタートしたことが現在のサービスにつながっていたりもします。失敗や困難自体は必ずしもマイナスではなくて、大事なのはそれをどう次に活かしていくかだと思います。

その状況で新しい方向に舵を切るというのはすごい勇気ですね。普段どんなふうにアンテナを張っていれば、そうした発案や決断をできるのでしょう。

とにかく自分の中に気づきやアイディアを“ストック”しておくことですね。
自分の業務の範囲だけで仕事を見るのではなく、日頃から世の中を幅広く見て、色々なものに関心を持つこと。それが自分や事業に関係あるかではなく「こんなことができたらいいな」と考える。
そういったタネをどれだけストックしておくか。面白いサービスは考えようとして生まれるのではなく、ある時ストックのうちの1つが使えるタイミングが来るような感じだと思います。

あとは他人とたくさん話すと良いですよ。
私は気になることがあるとすぐ本人に聞いたり、Facebookでメッセージを送ったりします。これを知ったらなにかできそうと思えるなら迷わず教えを乞う。ちょっと不躾かもしれませんが(笑)

多くの新規事業を生み出してきた秘訣は、そういった好奇心なのだと感じました。

そうですね。1つの事業を温めているような人ってあまりチャンスに恵まれない気がします。
色々なことを考えている人のもとに、機会があとからやってくることの方が多いのではないでしょうか。

働くとは“大義を探す旅”である

たくさんのご経験をされてきた御手洗さんにとって、仕事や働くとはどういうことか教えていただきたいです。

私は「仕事とは旅みたいなものだ」と思っています。
大きな方向性…行き先は決まっているけれど、行った先では色々な出来事が起こるし、それらを通じて「楽しかったな」と思える体験が旅ですよね。仕事もそうであったら幸せだろうなと思います。

またその仕事という旅は、恐らくは人生の3分の2ぐらいを占めるものですから、いい旅の時間を過ごす(=充実した人生を送る)ためにも意義を見出せると良いですね。
誰かに貢献をするとか社会とつながるとか…仕事を通じて自分なりの大義を見つけていくこと。それが働くということなのではないかと思います。

私もまだまだ道半ばですが、社員と共に「rakumo」をいい旅にしていきたいです。

編集後記

旅には不測がつきものだし、それすら振り返れば良い思い出になる、そして道中「自分はどうしたいのか」考えることがその旅を豊かにする…率直に「仕事を旅に例えるのは素敵だな」と感じました。
私も、40年という長い旅を閉じる時「楽しかった」と笑える働き方をしていきたい。そのために、肩の力を上手く抜き背筋を伸ばして社会を広く見ること・日々の失敗の捉え方を変えることから始めようと思います。

編集:佐藤 由理

「rakumo株式会社」概要

2004年に株式会社日本技芸として設立。Google Workspaceと連携できるクラウド拡張ツール「rakumo」の開発販売や、情報通信機器・ソフトウエアの販売といった事業を通じ、顧客企業の「働く」を楽しくするサポートを行っている。
東京千代田区に本社を置くほか、ベトナムにもオフィスを展開。連結子会社に、株式会社gamba、株式会社アイヴィジョンがある。

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