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「こうだったらいいな」を実現できる人と
そうでない人の違いを訊く

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#夢を語りまきこみやりきる#異才一体

学生時代に起業を経験したのち就職。就職先でもさまざまなチャレンジを経て、現在のセーフィー株式会社を創業したという佐渡島 隆平氏にお話を伺いました。
「こうだったらいいな」と思うことは誰しもあるでしょう。それを実現できる人とそうでない人の違いは何なのか、佐渡島氏のお話から「アイディアをビジネスにする」とはどういうことか紐解きます。

セーフィー株式会社
佐渡島 隆平
佐渡島 隆平社長のプロフィール画像

1999年、甲南大学経済学部在学中に「Daigakunote.com」を創業。 2002年にソネット株式会社へ入社。10年からはモーションポートレート株式会社へ務め、14年にセーフィー株式会社を創業した。

佐渡島 隆平社長のプロフィール画像

未来から逆算し、「現在なにを生み出すか」を考える

佐渡島さんの働く価値観についてお聞かせください。

僕が起業したきっかけは、自分の家を建てるにあたって防犯カメラを設置しようと考えていて…「自動でアップデートされて賢くなるようなカメラがあったらいいな」と思ったことです。

自分が「欲しい」「やってみたい」と思うことを技術の力で社会の役に立つものにしていけると、すごく働きがいがあって社会を良くしている実感が湧きます。働くとは、自分の欲しい・やってみたいという気持ちをしっかり持ちつつ、どう社会に役立てていくかのゲームなのかなと思っています。
あまり自分自身は聖人君子的な世界観ではなく、好奇心やワクワクをモチベーションとして働いていますね。

それは創業当初から今まで変わらず?

そうですね。
我々は「映像から未来をつくる」ということをビジョンに掲げているのですが…
「2030年の未来はどうなっているんだろう」と想像して、今防犯カメラって誰もクラウド化していないからクラウド化するところからデータを集めていこうとか、プラットフォームを構築しても使ってもらわないと意味がないから使いやすいUXにしようというふうに、大きな未来から逆算して、今日の現実になにを生み出すか考える

常に未来と現在を意識しながら営業戦略を組み、夢を語り、皆を巻き込んでやりきるという形でやっています。

御社のカルチャーである「夢を語りまきこみやりきる」ですね。

はい。やっぱり、ソフトウェア業界が成長産業を革新してどんどん成長させてきたのは、色々な会社で生まれた妄想やアイディアだと思うんですよね。

ただアイディアを出すだけなら誰でもできるので、「人を巻き込んでやり切る覚悟でアイディアを出していきましょう」っていう行動指針をつくっています。

いつだって自分を突き動かすのは
「やってみたい」という気持ち

そうした環境なら、とてもやりがいを感じて働けそうです。会社選びについてアドバイスを頂けますか?

僕は大学生の時に「iモードを使って、大学生のノートを交換できるコミュニティをつくろう」と思い、大学生のメールアドレスを集めて、色々なメールマガジンを発行するという独自のサービスをつくっていたんです。
この時「インターネットの可能性ってものすごいな」と思ったので、インターネットをベースに伸びていくサービスを新しいアイディアでつくれる会社がいいなと。それにはやっぱり大企業の看板があって、インターネット関連の事業をやっていて…と考えて、ソニーグループが1番自分の価値に合っていると思い、ソネットへ入社しました。

つまり当時から「自分がイメージする世界をつくっていけるか」というウィルがベースにあり、そのウィルをそれに掛け算して新しい価値が生まれるのかということを基準に選択してきているんですね。
自分がチャレンジしたいことを大切にして、その内なるモチベーションみたいなところを1番発揮できる場所はどこなんだろうと考えて選ぶのがいいかなと思います。

ソネットでは実際にやりたいことをできたのでしょうか。

そうですね。僕はインターネットの中でもモバイルインターネットが1番面白いんじゃないかと思っていたのですが、入社翌日から「モバイルインターネットのサービスをたくさんつくれ」っていうミッションを課せられ、どんどん新規事業をつくっていくっていうところに配属していただいたんです。

やってみたいことは全部やってみようと、サービスを本当に何十個も出させていただいて、売上10億円規模まで持っていくことができました。
ヒト・モノ・カネ、看板、地盤とかを使えて、色々なチャレンジさせてくれる素晴らしい会社だなと思いながら勤めていました。

佐渡島 隆平社長インタビューの様子

そうした環境にいながら起業を決めたきっかけを教えてください。

スマートフォンというデバイスがどんどんコンピュータ化していく中で、ユーザー数の規模を追いかけるサービスを使ってもらえれば良いというわけではなく、テクノロジーを駆使して多様に展開していかなくてはと考えていました。

モーションポートレートというソニー木原研究所からカーブアウトした会社は、写真や動画をベースに顔を認識させるという研究をしていたので、このテクノロジーをベースにさまざまなサービスを生み出せたらもっといいのではないかと考えていたところで、のちに共同創業者となる下崎、森本と出会ったんです。

3人で「新規事業なにをしようか」と、ああでもないこうでもないと言っている時に、最初にお話した「置くだけポンの賢くなるカメラ」というゴールイメージを明確にして、クラウドカメラを自宅につけていくことからニーズをかなえて、横展開すると、世の中に広がるのではないかとヒラメキがあって。これをつくっちゃおうぜ、と

それからは、どうしたら僕らの思っているデバイスをつくれるのかと、世界中の色々なカメラを買ってきては中身をパカパカ開けて調べました。
その中で将来性を確信し、プロトタイピングをはじめると同時に「これを、会社を辞めて自分たちのチカラだけでやりたい」と会社に伝えたら、現社長の十時さんや当時のSo-net経営陣から「IoTの世界もスピード勝負なのでやってみたらいい、金は出すが口は出さない」と背中を押していただき、ソニーグループからご出資いただいて起業できたんです。ソニーの『自由闊達にして愉快なる理想工場の建設』の企業DNAの素晴らしさや器の大きさを感じましたし、常に挑戦し続ける企業として、リスペクトしています。

こうしたら絶対成功するだろうと思っていたわけではなくて、学生が研究室でごちゃごちゃ言って「面白そうだからやってみたい!」と始まったような会社ですね(笑)。

「異才一体」となって、今ここから理想の未来を実現していく

そうして始まったセーフィー株式会社…今後はどのような組織にしていきたいですか?

当社には「異才一体」というカルチャーがあります。

ソフトウェアやサービスをつくるには、誰かの模倣ではダメで、未来に対してどんなビジョンやイマジネーションを持っているかが重要だと思います。
自分たちがどんな社会・世界をつくりたいかというアイディアをベースに、それにはカメラが必要だ、ネットワークにつながないといけない、AIで加速しないといけないなど…色々な才能を持った人たちがつながって1つのものをつくりあげていかないと、競争には絶対に勝てない。
違う才能が1つになるからこそ、新しい価値やサービスが生まれるんです。

異なる才能を認めつつも、1つの価値観・方向性で走っていくことが実現のためのポイントだと思うので、多様な才能が集まり尊重し合えるチームになってゆくといいなと思っています。

なるほど…本日頂いたお話、大変勉強になりました。

いえいえ。我々もまだまだ成長できるはずなので…組織作りについて社長も役員もしっかりと学びながら、組織をアップデートし続けていきたいと思います。

編集後記

「大きな未来から逆算して、今日の現実になにを生み出すか考える」 これはビジネスに限らず人生にも適用できると思いました。「なにができるか」から考えると思考や選択肢が狭まる一方ですが、その順番を入れ替えるだけで(どうしたいか→そのために今なにができるか)、未来を切り拓いていくことができそうです。

編集:佐藤 由理

「セーフィー株式会社」概要

2014年設立。17年、オリックス・関西電力・キヤノンマーケティングジャパン等事業会社大手5社と資本業務提携。 18年には自社プロダクト「safie(セーフィー)」が2017年クラウド録画サービスシェアNO.1を獲得。翌年以降「Safie Poket(セーフィー ポケット)」「Safie Entrance(セーフィー エントランス)」「Safie One(セーフィー ワン)」など次々リリース。

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