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挑戦を続ける100年企業「サカワ」の
CEOが語る“普遍的に大切なこと”

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#従業員の幸せを追求する#早くに継いで良かった#100年企業

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回は、株式会社サカワ・坂和 寿忠氏にインタビューしました。
100年続く企業でありながら、革新的なアイディアで業界をリードしているサカワ。同社を率いる坂和氏の仕事観、これからの展望から“普遍的に大切なこと”を紐解きます。

株式会社サカワ
坂和 寿忠
坂和 寿忠社長のプロフィール画像

1986年生まれ。大学卒業後に家業である株式会社サカワへ入社後、東京支店で電子黒板の営業販売に従事。
2015年、面白法人カヤックとの協業で開発したハイブリッド黒板アプリ「Kocri」は「第12回 日本e-Learning大賞」大賞「2015年度 グッドデザイン賞」などを受賞。16年にはウルトラワイドプロジェクター型電子黒板「ワイード」を発売。18年、同社社長に就任した。

坂和 寿忠社長のプロフィール画像

顧客や社会より先に、従業員の幸せを考える

坂和さんにとって“働く”とはなにか、お聞かせいただけますか。

僕は自ら起業をしたわけでも、会社を選んで入ったわけでもない。生まれた時からここで働くと決まっていためずらしい境遇なので、普通の価値観とは結構ズレていると思うのですが…
最初は“引き継がれてきたものをちゃんと次に伝えていく”ことが大きかったですね。ただ継いでから5年が経った今、自分が働く意味というのは、家族や歴史だけではなく“従業員を守るため”に変わってきた感覚があります。

社会貢献や事業、売上ばかりを考えていましたが、あることをきっかけに「従業員が1番だな」って思ったんです。会社を経営する以上、最も先に幸せにしなくてはいけないのは従業員だと。
たぶん、働きやすさや福利厚生を整えることで幸せな従業員さんが増えると、その従業員さんが良いサービスを生み出してくれて、お客様に良いサービスを届けてくれて、その先で社会が良くなっていくという順番なのかな。

そこに至るまでに様々なご苦労があったことと思いますが、なにをモチベーションに乗り越えてこられたのでしょうか。

僕は結構アイディアを考えるのが好きで。もともとは事業を生み出すとか、新しいものを考えることがモチベーションだったんですよ。
だからこそ“1番楽しいところをやらせない”経営者になってしまっていたのですが、去年からコーチングを受け始めて「自分が1番大事にしなくてはいけないものはなにか」と向き合った結果そこには、従業員の顔がありました。
今は、従業員が幸せそうに働いている姿とか、彼らが新しいサービスを生み出した時、あとは彼らが結婚した、子どもができたといったニュースを聞けるだけでも幸せです。

きっかけとなった出来事とは?

実は去年、売上がガタっと落ちたんですよ。
円安の影響など原因は色々ありますが、矢印を外に向けるのは簡単ですから…自分に矢印を向けてやり方を変えないといけないなって。それでこの何か月かを振り返って反省したところは「毎年こんなジェットコースターのような会社では、従業員が不幸せだよな、社長として取り組むべきは従業員の幸せだ」と思いました。

“わからない”って言えるうちにいっぱい失敗したほうがいい

坂和さんご自身はこれまで、どのように働かれてきたのでしょうか。

20代は仕事しかしていませんでした。朝6時から深夜までひたすら働いていましたが、やらされている感覚もなく楽しかったですよ。

仕事に熱中できるって、素晴らしいですね。

仕事に対する熱中は趣味に対するものとは違うと思うので、区別したいのですが…仕事に対しては“結果を出す”ところにあると思います。やっぱり、結果を出さないとつまらないじゃないですか。
結果を出さなくてもいいからと“やっている風”に見せている人もいるとメディアで見ましたが、それって1日が長くて仕方ないでしょう。その時間でどれだけ成果を残して評価されるかと考えたほうが絶対に楽しいですよ!熱中して評価される、月収が上がる…その方がずっと良い。

それに、少なからずあなたが生まれているということは、お母さんやお父さんがいらっしゃって、その方々が努力してつないできてくれた命だと思うので、それを無視して「俺は適当でいいや」というのはあまりにも無責任ですよね。もっと一生懸命生きてほしいなと思います。

壁にぶつかったことはありますか?

何回かあります。特に社長に就任した時は、32歳だった上、100周年という重みもあったので「僕に社長が務まるかな」という気持ちがあったし、経験が無い中で悩みながらやってきました。

でも、早くに継いで良かったです。若いうちって勢いでいけますから。
「経験不足ですみません」って謝ればいいし、わからないことはわからないって言えるうちにいっぱい失敗した方がいい。苦労は若いうちにしろってそういうことなんじゃないですか。
その意味でこの5年は僕にとってデカかった。めちゃくちゃ良い40歳を迎えられそうな気がしています。

業界の転換期をつくると同時に、
従業員の幸せを追求していきたい

今後の展望を伺いたいです。

黒板業界がガラッと変わるような転換期をサカワがつくっていくというのが、目指すところです。構想もしっかりあるし、従業員も「やりましょう」と言ってくれているので、そこに向けて走ります。
あとは従業員をどこまで幸せにできるかを追求していこうと思っています、ここからは。

例えば2025年からは、給料は自己申告制にしようと考えています。
評価制度って難しくて、納得できる人とそうでない人に分かれるんですよね。
会社における彼らの幸せは“納得して給料をもらう”ところから始まると思うので、自分たちに決めてもらおうと思いました。

これからの人生でどんなビジョンを叶えたいかを聞き、そのために会社の中でどんなことができるか“ビジョンに寄り添った目標”を決めて、給料に反映していく。これならきっともっと頑張れますよね。

良い意味で100年企業らしくないというか、ベンチャーっぽさを感じます。

従業員の幸せがテーマですから。

愛を与え続けていけば、従業員も応えてくれます。僕ら経営陣から「みんなで一緒に幸せになろうね」というメッセージを送っていて、その先にある施策だから納得してノッてくれるし、役職者も部下に愛を持って接してくれる。愛が伝播する、そんな組織をつくっていきたいです。

坂和 寿忠社長と社員が並んでいる様子
編集後記

創業100周年を超えてなお、挑戦を続ける株式会社サカワ。その陰には、自らに矢印を向け本質を問い続ける経営者の姿がありました。
100年続く企業を承継されたからこそ人一倍の努力を重ねてきた坂和氏。「めちゃくちゃ良い40歳を迎えられそう」という一言が非常にかっこよかったです。私も、努力や評価されることから逃げずに向き合おうと思いました。

編集:佐藤 由理

「株式会社サカワ」概要

1919年創業、電子黒板・黒板等の製造・施工・販売を手掛ける企業。
黒板のほかにも、ハイブリット黒板アプリ「Kocri」や黒板専用プロジェクター「ワイード」など、教育ICT機器・ツールを幅広く展開。老舗でありながら黒板業界のリーディングカンパニーとして、最先端技術を用いて業界を牽引している。

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