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「ようやく1番面白いと思える仕事に出会えた」
CEOの“20年の回り道”

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#街づくりの面白さ#ゼブラ企業#トランクルーム事業

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回は株式会社ストレージ王・荒川 滋郎氏にインタビューしました。
多様な職種を経験し、20年かけてようやく夢中になれる仕事を見つけたといいます。回り道をした荒川氏ならではの視点から、社会的課題を解決するということや、会社選びのポイントなど、様々語っていただきました。

株式会社ストレージ王
荒川 滋郎
荒川 滋郎社長のプロフィール画像

東京大学経済学部を卒業後、新日鉄,PARCO,寺田倉庫を経て2016年に現在のストレージ王の親会社である株式会社デベロップへ入社、 その後株式会社ストレージ王 代表取締役社長(現任)となり2022年4月東証グロース市場にて上場を達成。

荒川 滋郎社長のプロフィール画像

“興味を持てること”に出会うまでの、20年の回り道

荒川さんにとって“働く”とはなんですか?

“生活のため”ということに加えて、人間が持つ自己実現の欲求・承認欲求を満たしてくれるのが仕事かなと思っています。

一方、私は会社で仕事をしているので、“会社にとって役に立っているのか”と“その会社が社会の役に立っているのか”も大きいと思っています。
例えば私どもの仕事は、個人や企業様の物品を収納する貸し倉庫“トランクルーム”というサービスを通じてお客様の役に立つことで成り立っています。このように、いわゆる社会における課題解決・貢献をできる会社なのか。そこに自分自身が貢献できているかは非常に重要です。

また、やっぱり自分が興味を持てることも大事ですよね。

実は、私は今の会社に入社する前は本当に様々な経験をさせていただいてきました。
最初は新日鐵というメーカーに入社し、その後はパルコという会社でショッピングセンター開発をしてきたのですが…職種としては経理の仕事を5年間、経営企画を8年、ご縁があって秘書の仕事を4年、その後マーケティングを3年、その後やっと不動産開発の仕事に就いたという流れで。不動産が1番面白いし、今後も不動産を素地に仕事をしていくのだろうと思っています。

私自身かなり回り道をしたからこそ、面白いと思えることに出会えるのは大事だと思います。
そういう意味で、色々な経験・転職ができる今の時代は良いですね。興味を持てることと出会えたら自分の能力を最大限発揮できて、それが“役に立つ”ことにつながっていくと思います。
興味を持てることで、社会の役に立つ_これが自分にとっての働く価値観ですね。

今の事業に出会ったきっかけを教えてください。

パルコにいた頃、利用されていない土地をパルコというショッピングセンターにする、再開発の仕事をさせてもらいました。
形に残る仕事ですし、今まで別のものがあったところにショッピングセンターをつくり、そこに人が集まってくる…そういう場所をつくることがすごく面白かったんです。

また同じ土地活用でも、駐車場だとこれだけしか稼げないというところを、オフィスビルやマンション、ショッピングセンターにすることで利益率が全く変わったり、なにを建てるかによってその地域の生活にも影響があったりと…“街づくり”をできるのが楽しくて、徐々に不動産へハマっていきました

それからは、もうすこし別の商業開発をしたいということで会社を移って、今のトランクルーム事業にたどり着きました。

トランクルーム事業には、どんな面白さがありますか?

トランクルームにできる物件を探してつくっていく、開発自体が面白いですね。
また今はマンションがとても高くなっていますが、トランクルームを使えば生活に必要なスペースが多少抑えられるので、住みたい街になんとか住める。そういったお手伝いを通じて、人の役に立てていることも嬉しいです。

荒川 滋郎社長がオフィス前に立っている写真

世界中とつながれる時代だからこそ
“ゼブラ企業”的概念に着目を

そんな荒川さんから、会社選びのポイントやアドバイスをいただきたいです。

時価総額をどんどん大きくして成長してゆく、Googleのような企業のことを指す“ユニコーン企業”という言葉がありますよね。それに対して“ゼブラ企業”という概念があるのをご存知ですか?

わかりません。

2017年に4人の女性起業家が提唱した概念です。社会的課題の解決と経済的成功を白と黒に見立てて、その2つを両立させる意思を持った企業を指すそうです。
事業成長を通じて社会を良くしていくというコンセプトを持っているということ、地域の中で安定的に成長してゆくローカル性の高さなど、細かくは色々な定義があります。

インターネットで全世界につながれる時代ですが、実生活は変わらず会社や自宅のある場所に密着しています。
だからこそ自分の住んでいる場所を良くすることで幸福感を得られることが、今の時代に大事だなと私は思っています。そういう意味で、ゼブラ企業の概念はいいなと思うんです。

もちろん色々な価値観があっていいけれど、私はどちらかというとローカルな課題がきちんと解決できて、その地域の中で根ざして安定していける企業をつくることも大切な時代かなと思ってるので…ぜひ若い方には、ゼブラ企業にも注目してみていただきたいです。

今後求めるのは、自社と他社を“つなぐ”力を持った人材

最後に、今後の展望をお聞かせください。

トランクルームは大きく分けて、コンテナを使った屋外型と、東京都内を中心としてある屋内型(ビルイン型)のものがあります。
屋外型のトランクルームを、来年以降も30ヶ所ぐらいずつ増やしていこうと思っています。

ロードサイドにあるトランクルームって、すごく便利に使っていただけるんです。例えば工務店さんの場合、事務所や家の近くに資材置き場があると、朝早くから資材を出し入れするとうるさいじゃないですか。でもロードサイドのトランクルームを使えば近所迷惑になりませんよね。
またコンビニは300~500坪ないとつくれませんが、トランクルームは100坪くらいでできてしまうので、細かく区切られてしまった土地活用にも最適です。

つまり、屋外型のトランクルームは増えるとお客様に喜んでいただけますし、弊社としても増やしやすいので、今後注力していきたいと考えています。

事業を成長させていくにあたって、どんな人と一緒に働きたいですか?

1社だけですべてをまかなうような時代ではないので、これからは事業拡大のためにも他の企業とのコラボレーションを活発化させていきたいと思っています。
また、ゼブラ企業の観点で考えても、色々な企業と対話しながら社会的課題解決というゴールを目指せる人が必要だなと。

そのための推進力や調整力、そして根本に“社会のために”というモチベーションや視点を持っている方が仲間になっていただけたら有難いですね。

編集後記

荒川氏は、まさに“急がば回れ”を体現している方だなと思いました。
若いうちは特に「やりたいことが見つからない」と焦りがちですが、20年の回り道を思えば、またその先で仕事を楽しんでいらっしゃる荒川氏を見れば、すこし心が楽になりますね。
悩むよりも、あえて「いつかきっと、やりたいことと出会える」と割り切って、目の前のことへ一生懸命になっていくのもひとつの手なのかもしれません。

編集:冨樫 麦野

「株式会社ストレージ王」概要

2008年設立、トランクルームの運営・管理を開始。10年、岡山の天満屋グループが株式会社アイトランク山陽を設立。13年に株式会社デベロップがアイトランク山陽を100%子会社化し、15年にストレージ王と合併、商号を変更。
16年、ソーラーエナジーインヴェストメントとの合併を経て、22年に東京証券取引所グロース市場に上場。24年には一級建築士事務所として登録された。

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