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「起業はあくまで手段だった」CEOはいかにして、心燃える“使命”を見つけたのか

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#データ利活用の可能性#会社選びのポイント#やりたいことの見つけ方

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回インタビューを受けてくださったのは、セカンドサイトアナリティカ株式会社の代表取締役社長・高山 博和氏です。
高山氏は「起業をしたかったというわけではない」と語ります。その言葉の真意や起業の経緯、そして現代の仕事観への所感まで伺いました。

セカンドサイトアナリティカ株式会社
高山 博和
高山 博和社長のプロフィール画像

京都大学大学院を卒業後、複数のコンサルティングファームを経て、2016年にセカンドサイト株式会社(現:セカンドサイトアナリティカ株式会社)を設立、取締役に就任。2020年4月より代表取締役。
事業企画支援や中期経営計画策定支援、アナリティクス技術を活用したクライアントの課題解決やAIモデルの構築支援の事業を運営している。

高山 博和社長のプロフィール画像

起業理由は、データ利活用の可能性と
“後進国”であることの悔しさ

コンサルタントとして実績を積まれながら、起業の道を選ばれたのはなぜですか?

実は“起業をしたかった”というわけではなくて…コンサルタントとして働いていた時に、データ分析・活用によって数十億、数百億の利益が生まれるのを目の当たりにしたのです。
大企業に蓄積されている膨大なデータがあまり活用されていない現状と、活用することによって生み出される大きな利益、その両方を知って、データにはとてつもない可能性があるんだなと感じました。

そして「こんな宝のようなデータは、日本企業にたくさん眠っているだろう」「それを最大限に活用して日本を活性化させられないか」と思い、2016年に起業しました。

起業はあくまで手段だった、と。

そうですね。
あとは、テクノロジーやAI、データの利活用分野において、日本はあまり進んでいません。もっと言えば、アメリカや中国、韓国と比べると“後進国”と言っても良いくらいです。

でも日本で育ってきた私としては、後進国と言われることは悔しいなと…学生の頃からデータアナリティクスや機械学習・AIなどの研究をしていました。
それからコンサルファームでの経験も経て「日本企業を活性化して、データ利活用の先進国にしたいな」という想いから、データ分析の会社をつくり、今に至るという経緯です。

それから、今御社は10期目ですよね。これまでで最も大変だった時期はいつ頃ですか?

会社設立したての時ぐらいでしょうか、ひたすら忙しかったです(笑)
名もなき会社ですから採用も苦労しますし、営業へ行ってもそれは苦労しました。そうした経験から「社会的認知・信用を獲得しよう」と思い上場をし、多少は採用・営業をしやすくなりましたが、状況が変わればまた別の問題が出てきますね。

最も大変だったというか、忙しかった時は設立当初。その後も課題はコロコロ変わりながら、ずっと大変かもしれません(笑)

当時はどれぐらい働かれてらっしゃったのでしょうか。

朝は10時ぐらいで、夜3~4時くらいまでですかね。でも、忙しいことを嫌だとは感じませんでした。

それはやはり「日本がデータ利活用後進国だと思うと悔しい」という気持ちが強かった?

それもありますが、それ以上に、弊社のお客様からの「ありがとう」が嬉しかったので。
頑張れる理由って、案外そういう直感的なものだったりするのかもしれませんね。

選択肢もやりたいことも、社会に出て初めて見えてくる

高山さんは、“働く”とはなんだと思いますか?

社会人になりたての頃と今では、変わっている気がします。

最初の頃は、自己成長していくこと、それによってできることが増えていくことがひたすら楽しかったのですが、今の私にとって働くとは“やりたいことを実現するための手段、活動”だと思います。
そのためには経営も、従業員という仲間も必要…そんな感じでしょうか。

やりたいことが見つからず悩んでいる人も多いと思います。アドバイスをいただけますか?

いや、実は私も初めからやりたいことがあったわけではありません(笑)
最初から社会全体に目を向けられていたわけではなくて、ただ色々学んでできることが増えていくことが楽しかっただけで、やりたいことがないのは当たり前だと思いますよ。

そもそも、社会にどんな選択肢があるのかわからないのが普通ではないでしょうか。社会人になって何年か働くうちに選択肢が色々と見えてきて、そこではじめてやりたいことが出てくるものだと思います。

良い選択肢に出会うためにも、最初の環境が重要だと思うのですが、会社選びのポイントがあれば教えてください。

やりたいことなんてわからないと言っておきながら、矛盾するようですが…やりたいことかどうかというか、業務内容が“好きかどうか”ということが結構重要ですね。
当社で言うなら、データ分析やAI技術を用いた課題解決が好きかどうか。業務そのものが好きであれば、かなり高い確率で成長しますし、取り組んだことが悔いにならないと思います。

そういう“好き”と思える業務、かつ、その中で会社を選ぶなら、企業理念を見たほうが良いかもしれません。
やっぱり企業には理念にそった人たちが集まってくるものですから、理念に共感できるかということが、自分の働きやすさや熱量を持てるかみたいなところにもつながってくると思います。

高山 博和社長インタビューの様子

ワークライフバランスも、ワークアズライフも尊重したい

現代の仕事観についてもご所感を伺いたいです。今、働き方改革によって大きく労働環境が変化してきていますが、高山さんはそうした現状に対してどう思われますか?

ワークライフバランスはとても重要だと思っていますが、当社の社員の中には、もっと働きたい気持ちがある一方で、様々な制約からその思いを十分に発揮できないことがあるように感じます。
当社には、成長志向の社員も多く、制約によって自身の成長機会が失われることを気にする社員も結構いるため、バランスを取ることがなかなか難しいなと。

プライベートを大事にする働き方も良いと思うと同時に、仕事中心の生活になっても、大きく成長したいというようなタイプの人もいるので、どちらも尊重されるべきだと思います。どちらも両立できる環境が大事だと考えて経営していますね。

確かに、本当の多様性は、どちらかに傾くことではありませんよね。高山さん個人としてはどうでしょうか?

私はどちらかといえば後者かなと思います。働くことが楽しいというのもそうですし、日本には資源が潤沢にあるわけではなく、1人ひとりが努力することでしか世界で戦えないと思うので。

ただ会社としては、働く時間ではなくその仕事の価値に給与を支払いたいと考えているため、多くの社員が裁量を持って自分に合った働き方ができるよう、裁量労働制にしています。
価値の定義が難しいなと悩みつつも、従業員1人ひとりの価値観に合わせた働き方、成果に対して正当な給与を支払えるよう、試行錯誤しながら取り組んでいます。

編集後記

「社会に出て初めて選択肢や、やりたいことが見えてくるものだ」という言葉に勇気づけられました。
しかしそれは、本気で打ち込んだ先にしか見えてこないというのは自明の理でしょう。目の前のことに対して「やりたいかやりたくないか」とジャッジを下すのではなく「この先に見えてくるはず」という希望を持ちながら取り組みたいと思いました。

編集:佐藤 由理

「セカンドサイトアナリティカ株式会社」概要

2016年に設立された、アナリティクスとテクノロジーを活用したサービスを提供する専門企業。「AI」の核となる機械学習やディープラーニングなど 新技術のR&Dを通じて、様々な業種・分野に対するアナリティクス・コンサルティングサービスと、それを動かすIT基盤やAIサービス(プロダクト)を提供している。

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