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「自分の道を自分で選ぶ」とはどういうことか_キャリア選択の本質を学ぶ

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#ドメインを見つける#転職のタイミング#知的好奇心を満たす

CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回はtripla株式会社・高橋 和久氏にインタビューしました。
嗜好品からIT、EC、旅行など…様々な業界を渡り歩いてきた高橋氏の経験談から、“自らキャリアを選ぶということ”はどういうことかが見えてきました。

tripla株式会社
高橋 和久
高橋 和久社長のプロフィール画像

北海道大学大学院を卒業後、2001年にTKKへ入社。フィリップモリスジャパン、A.T.カーニーにて、コンサル業・国内外の営業・マネジメント業務を経験。その後、アマゾンジャパンでファッション事業部長、コカ・コーラではEC部門の立上げを行った。15年にtriplaへ参画、16年同社の代表取締役へ就任。

高橋 和久社長のプロフィール画像

興味の赴くまま、多様な業界を渡り歩いた20~30代

高橋さんのキャリアについて伺いたいです。TKKからフィリップモリスジャパンに入社されたんですよね。

はい。当時フィリップモリスが、様々な部署を一度経験したのちに、自ら働きたい部署を選択できるマネジメントトレーニープログラムを展開しており、自身で配属先を選べる制度が魅力的だと感じ、入社を決めました。

最初の3ヶ月はタバコの営業からはじまり、自動販売機の中を掃除したり、タバコ屋のおばちゃんにほうきで叩かれたり(笑)、その後は営業のバックオフィスや法人営業、トレードマーケティングといってコンビニ等に貼るポスター作りや、マルボロのブランディング、ファイナンスに至るまで…2年ほどかけてあらゆる部署で仕事を経験させていただきました。
最終的には、ビジネスディベロップメントという部署に配属されることになりました。

その後はA.T. カーニーへ転職されたとのこと。そちらに興味を持ったのはなぜでしょう。

当時は、会社の事業戦略を描ける仕事というイメージを持って入社したのですが、なかなか甘かったですね(笑)。実際の仕事としては、コスト削減の仕事も多く、わかったつもりになっていただけで、戦略を立てる程の経験と知識が自分に足りていないなと感じたため、もっと事業経験を積んだ方がいいなと思い、再度フィリップモリスへ戻ることにしました。

高橋 和久社長が話している様子

戻られてからはどんな仕事をされたのですか?

タバコって2008年頃までは誰でも買える、自販機でジュースのように出てくるものだったのですが、未成年の喫煙が止まらないので“成人識別”を入れようということになり、戻ってすぐにそのプロジェクトリーダーをやらせてもらいました。

もちろん仕組みの変化も大きなことでしたが、それまで自販機がタバコの売上の40%ほどを占めていたのが、成人識別の導入で10%程度まで落ち込むと予測していたので、代わりにコンビニやスーパーといった違うチャネルに売上が流れることを見越して協賛金を絡めた売り場作りを行い、チャネルシフト戦略を描くというのもプロジェクトの大きなポイントでした。

そしてアマゾンジャパンへ。

はい。オーストラリア駐在が終わって日本で転職先を探していた時に、これまで営業やマーケティングしか経験がなかったので、ITのような新しくて今後成長が予想される分野にもチャレンジしてみたいと思いアマゾンジャパンに入社しました。
当時はまだ社員が数百人しかいない頃で、皆さんと和気あいあい夜中まで働いていましたね。とても楽しかったですよ。

“転職先が決まったから”で転職するな!
タイミングは自分で決めよ

様々な経験を積まれてきた高橋さんから見て、会社選びにおいて重要だと思うことを教えてください。

僕は“好奇心を満たしてくれるかどうか”が非常に重要かなと思っています。だからタバコからコンサルへ行ったり、ITへ行ったり…同じ業種で転職したことがないんですよね。

転職のアドバイスとしては「転職先が決まったタイミングで転職をするのはやめたほうがいい」と思います。
僕は今まで4社で働きましたが、その間におそらく60社ぐらい内定をもらいました。でもそのたび「このタイミングで本当にこの仕事をしたいのか」と考えるようにしていて、そう思えた時にだけ転職するようにしてきました。

よく「そろそろ違う会社で働きたい」と転職活動をして、給与などの条件を見て転職する人も多いと思いますが、そうではなくて、普段からアンテナを張っておいて本当に「キャリアチェンジをした方がいいな」と思えるタイミングが来たら転職する、くらいのほうがいいんじゃないかなって思っています。ちなみに僕自身は転職して給料がダウンしたことの方が多いですが、後悔したことは無いですね。

キャリアチェンジのタイミングというのは、好奇心が軸になっているのでしょうか。

そうですね。例えばフィリップモリスを辞めたのはオーストラリア駐在時に「タバコは将来求められなくなっていくな」と感じたことがきっかけです。
需要が減ると、営業やマーケティング活動自体も制限されてしまう可能性が高く、そうすると自分の知的好奇心が満たされないなと思ってキャリアチェンジを決めました。

そんな高橋さんにとって“働く”とは?

なんでしょうね(笑)難しいですが…1回仕事を辞めてみたら、たぶん3ヶ月ぐらいで飽きると思うんです。
やっぱり日々生きていく中で自分の知的好奇心を満たしてくれるような何かがないとダメになってしまうんじゃないかな。それが仕事に直結していたらラッキーだなと思っています。

「若者は優秀」
やりたいことのドメインを見つけ、頑張って欲しい

好奇心・やりたいことといったことが見つからないと悩んでいる若者も多いと思います。

若い人に言えないだけで、僕ら世代でも悩んでいる人はたくさんいますよ。ただ今の20代の方はSNSを通じて人との違いを目の当たりにすることが多いじゃないですか。だから周りと比べて悩むけど、実はやりたいことが無いのは普通で、落ち込む必要はないと思います。

それどころか、優秀な人がどんどん増えているなと感じますよ。最近は特に女性の活躍を実感します。

僕は昭和51年生まれで、男女雇用機会均等法ができた昭和60年はまだ幼少期でしたが…、その法律が無い時代には、女性は中学や高校へ行っても均等に扱われないのだから頑張る気も起きないと思います。そして均等法ができたといっても、なかなか信用できない。
そういう意味で、今の20代の方は男女の差が均等になってきている時代に育っているので、より優秀な人がどんどん出てきているんじゃないかなと思います。時間がかかっても社会は変わっていくんですよね。

また男女ともに、今の若い世代には社会に貢献したいという気持ちを強く持っている方が多いなと思います。6歳の息子も「海を綺麗にする仕事をしようと思う」なんて言っていたりして。
未来を担う皆さんは十分素敵ですから、それぞれやりたいことの“ドメイン”をしっかり見つけて頑張っていって欲しいなと思います。

高橋 和久社長が笑っている様子
編集後記

お話を聞くだけでも率直に「面白い仕事をされてきたのだな」と感じました。それは高橋氏自身が“ワクワクする方へ”恐れず突き進んできた結果に他なりません。
歳を重ねるにつれ、大きな選択ほど「どうしたいか」より「どうすべきか」で選んでしまいがちですが、その物差しは一度捨てて、大きな選択だからこそ“自分の好奇心に従うこと”を意識していきたいと思いました。

編集:佐藤 由理

「tripla株式会社」概要

2015年に設立された、宿泊業界に特化したSaaS型のサービスを提供する企業。自社予約比率向上を支援する予約エンジン「tripla Book」、AIチャットボット「tripla Bot」、CRM・MAツール「tripla Connect」、広告運用代行サービス「tripla Boost」など多数サービスを展開。2022年11月東京証券取引所グロース市場に上場。

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