この記事をシェア

業界や自社の苦難をもろともしないCEOの
働く哲学「仕事は最高の教科書」

この記事をシェア
#自己成長と他者貢献#仕事は最高の教科書

400名以上の従業員を抱える、つばさロジスティクス株式会社の代表取締役社長、猪股 浩行 氏にインタビューしました。
猪股氏は、物流業界も自社にも「問題だらけ」、しかしそれが「面白くてしょうがない」と語ります。その表情からは、心底仕事を楽しんでいることが伝わってきました。
苦難をもろともしない猪股氏の「働く」哲学は、困難に直面した時のお守り的存在になってくれることでしょう。世代や役職問わず、必読です。

つばさロジスティクス株式会社
猪股 浩行
猪股 浩行 氏のプロフィール画像

高校卒業後、民間企業へ就職。1982年に引越し事業を開始、2011年、高栄運輸株式会社の経営に参画。2016年には株式会社カーライフサービス多摩車両の経営に参画、2019年つばさホールディングス株式会社の代表取締役に就任。
現在は、つばさホールディングス株式会社をはじめ、グループ会社であるつばさロジスティクス株式会社ほか3社の代表取締役、エイチディーエス株式会社取締役を務めている。

猪股 浩行 氏のプロフィール画像

働くことで、自己成長と他者貢献が同時に満たされていく

猪股さんにとって「働く」とはなにか教えてください。

私自身、学生の頃から明確な目標を持っていたわけではありませんが、自分の人生なので自分で意思決定して進んでいきたいとは思っていました。
20代で引越事業を立ち上げて以降「安定よりも挑戦だ」と言い聞かせながら走ってきて、仕事とは自己成長と他者貢献だと思うようになりました。

自分が成長すると、誰かの役に立てますよね。仕事に当てはめた時、役に立つ方法は「事業」です。つまり私たちなら、物流や整理を通して社会に貢献することが、働く価値でしょう。
働くことで、自己成長と他者貢献の両方が満たされていくのだと思います。

御社にもそういった、バイタリティあふれる方を求めていますか?

そうですね。今までの延長線上にいてはダメで「どういう働き方が理想か」「どうしたらお客様の課題を本当の意味で解決できるのか」を考えていく必要があります。
積極的に経験を積んで、そこからなにか得ようと挑戦する、行動的な人と働けたらいいなとは思います。

ただこれは、保守的な人がダメと言っているわけではありません。
保守的な人は、管理能力に長けていたり物事を客観的に見られたりします。最前線で開拓していく人がいれば、後ろで支える人も絶対に必要。何事もバランスですね。

個性も能力も多様で良いと思います。共通していてほしいのは、私たちの理念に共感できること。会社を束ねるものですから、理念だけは社員共通でブラさないようにしたいです。

御社は広報やブランディングに注力していますよね。業界ではめずらしいように感じますが、これも時代に合わせた施策なのでしょうか。

私たちの業界では経営者や従業員がどんどん高齢化していて、事業継承できないケースが多いんです。5年後には、3分の1くらいは廃業や倒産になると聞いています。

私たちのグループで1番長い会社は、創業79年になります。歴史のある会社ですが、新卒採用を始めてからはまだ4年しか経っておらず、変化に適応できているとは言えません。
時代や市場の変化にのまれず事業を存続させていくために、採用・広報も常に学びながら挑戦してくれています。

また労働人口が減り、労働基準法も厳格化されてきています。業種業界問わず、現状維持では会社自体を存続できない状況にあるでしょう。

当社 では今、女性の採用にも力を入れています。30~40代、子育てをされている世代の女性でも安心して、パートさんではなく正社員として活躍できるような環境を整えたいなと。
条件さえ整えば本当は外へ出て働きたいという方もいらっしゃるのではないかと思いますし、このあたりも取り組んでいきたいですね。

問題だらけな状況が面白くてしょうがない、仕事は「最高の教科書」

社内外問わず、課題がたくさんありますね。

そうですね、良いことです。
私は、問題があるからこそ新商品の開発やサービス改善につながるし、自分や会社も成長していくのだと思っています。成長痛なしに背は伸びないのと同じです。

現状維持でいいなら、仕事は生まれないどころか、AIにどんどんとって代わられていくでしょう。
人間だからできる仕事に挑戦して、人間的魅力をつくって、そういう人たちが会社を埋め尽くし、また皆で問題へ立ち向かっていく。楽しすぎませんか?

私なんて面白くてしょうがないです。問題があるって素晴らしいし、上手くいかないことは楽しいことですよ!

素敵ですね。若い世代にも伝えたいです。

なにかあった時、若い世代は「やりがいがない」とか「俺には合っていないんじゃないか」と、他の環境を求める傾向にありますよね。
でもその場合の問題って自分の内にあることなので、その解決を外に求めて転職しても、同じことが起こるに決まっているんです。

解決するには、ちゃんと課題抽出と解決をできるような思考と手法を持つことがすべてです。

もちろん挑戦すれば失敗するし、失敗したら検証はしないといけない。なぜそうなったか、繰り返さないためにはどうすればいいかを分析する材料として、失敗がありますから。

ただその経験があるからこそ、自分の言葉や器が広がり、説得力も増していく。そして自分が通ってきた道を、後輩も通っていくわけですから、後輩がハマった時にはアドバイスをしてあげられる自分になっていたいですよね。
上に立つって、偉いからではないんです。苦い思いや体験を楽しんでプラスにして、次に陥った後輩に手を差し伸べてあげる。その手段として、役職や役割があるわけです。

こんな素晴らしい経験を、給与をもらいながらできる。「仕事」って最高の教科書ですよね。

自ら燃える人を、もっと増やしていきたい

最後に、今後の展望を聞かせてください。

ここからスポットライトを浴びていくのは、今後入って来る新卒や第二新卒、キャリアの人たちです。皆さんの能力を最大限発揮できるような環境をつくるのが、今の自分の仕事だと思っています。

グループではたびたび「自燃人(じねんじん)」という言葉を使います。常に、自ら「やろう」と燃えて一歩踏み込み、周囲をも良い方向へ巻き込んでいけるような人を指す言葉です。
会社として色々な部分を整えながら、今後はそんな自燃人を自社内にどんどん増やしていきたい。そして、より理想の会社に近づけるよう、皆で進んでいきたいですね。

編集後記

-問題があるから仕事が生まれる、仕事を通じて成長や他者貢献が満たされる-

バラバラだと思われるこれらは一直線上にあり、それに気づいた時、見違えたように仕事が面白くなるのだと、猪股氏は教えてくれました。

今あなたが直面している「問題」の先にも、その可能性は等しくあります。別の方角へ解決を求めるのではなく、その問題と対峙して、ひとつの成功体験に変えてみませんか。

編集:佐藤 由理

「つばさロジスティクス株式会社」概要

1973年に設立された企業。事業拡大のためM&Aによるグループ化を積極的に進めており、2021年10月にフォスター電機株式会社より運送・整備事業を行うフォスター運輸株式会社の全株式を譲り受けた。
現在はグループ会社を7社展開。物流を中心に、車両販売・整備や食品加工、引っ越しサービスを行っている。既存事業に終始はせず、新規事業スタートに向けても取り組むなど、常に進化を続けている。

この記事をシェア
突き抜けるためになにをしたのか「CEO VOiCE」 » 記事一覧 » 業界や自社の苦難をもろともしないCEOの
働く哲学「仕事は最高の教科書」