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若手起業家に学ぶ、
“チャンスをつかみ、モノにする”ための心得

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#熱量・マインド#起業ストーリー#成長サイクルをつくる

株式会社Tsuzucle・森 祐太氏にインタビューしました。
19歳と21歳で起業を経験している森氏。当時のことや考え方の変遷…いわゆる“起業ストーリー”を聴く中で、働く上で大事にしたい価値観を学ぶことができました。

株式会社Tsuzucle
森 祐太
森 祐太社長のプロフィール画像

Tsuzucle代表取締役CEO。
東京大学農学部在学中の2020年に株式会社Tsuzucleを創業し、2022年に同大学の森林環境科学専攻を卒業。
事業の明確な目的設定から実行に至るまで、細やかに伴走する手法を強みとして、様々な企業の支援を行い、4年間で、リテール企業を中心に100社あまりを支援。2024年にforest社と資本提携し、グループ企業に。

森 祐太社長のプロフィール画像

初めての起業で得た学びと、Tsuzucle立ち上げにおける変化

二度の起業について、当時の流れや考えていたことをお聞かせいただけますか。

大学に進学した当時は学生起業が盛んで、1年生の頃から事業の立ち上げや事業責任者としての経験をさせてもらっていました。そこにすごく楽しさややりがいを感じていたので、自分でやろうと思って起業したという流れですね。ただ1社目の時は色々な部分で力不足で…事業は失敗してしまいました。

1社目はさまざまな方からご出資いただいての事業推進だったのですが「その責任に対して実力が見合っていなかった」という反省のもと、2社目に立ち上げたTsuzucleの1~2年目は、自分自身のレベルアップと事業の磨き込みに注力してきました。
軌道に乗せるという意味でも必要なことですし、良いサービスを届けるためには自分たちがレベルアップしていかなくてはいけませんから。

あとは起業の第一歩として、最初のお客様のニーズに応え、デイリーで信用を重ねていくことを大切にしました。
正しいと思う提案をしても、僕らに信用が無ければ依頼していただくことはできない。またそうするには自分たちの組織や事業、マインドを成熟させていく必要があるので、その行為自体が会社の成長につながります。

思えば1社目の時は学生起業だったのでなおさら「お金をもらう以上、自分たちが価値を提供できるところはないのか」と、毎日毎日考え、実際お客様に喜んでいただけるのか試行錯誤していました。信用を積み重ね、新しい価値を提供していくという二軸を回していくことは本当に大事だと思います。

新しい提案への価値を感じていただく、最初の信用獲得というのはどうしていったのでしょうか。

身も蓋もない話ですが、まずは数当たるしかないと思っています。
例えば100人いて100人が「いいね」と言うサービスって無いと思うんです。100人が良いと言うならそのサービスはすでに世の中にあるはずだし、もし無いのであれば恐らく着眼点が間違っている。なにかしらの違う理由でみんながやらない理由がある。

それよりも、最初の5~10人が評価してくれるアイディアが良いものだし、その人たちに対して自分たちの仮説を確かめていくというのが重要だと思います。だからまずその10人弱のサポーターを探すこと。そのためには数当たらないといけない。

でもそうやって積み重ねていくと、その他の人たちも「あの企業が使っているから」と使うようになってくれて、おのずとサービスが広がっていくんです。

森 祐太社長インタビューのようす

熱量と素直さを持ち、出会いを必ずモノにすること

自らの意思を持って選択してこられた森さんに、進路選択において大切だと思うことを伺いたいです。

物事に対して真剣に取り組んでいる人を周りに置くべきだと思っています。
何かしらの理由があって、新しいことに挑戦する人は少ない。基本的に多くの人は変化を求めていないと考えた方が良いです。
ただ、変化を求める人たちが新しい価値を作っていくことも事実なんです。本当に真剣に取り組んでいる社員が集まっている会社に入ることは大事だと思います。

またそうした勝ち馬に乗ることも、自分の乗っている馬を勝ち馬にすることも重要です。会社も個人も比例関数的に成長することはないので、最後は直感ですね。

これらを念頭におきながら自分の会社も、真剣にコツコツと運営していきたいと思っております。

森さんの場合、起業時などにいい影響を与えてくれた人がいらっしゃったんですか。

いっぱいいますよ。
特に、1社目の起業失敗から2社目の立ち上げ、そこから1年ぐらいずっと伴走してくれていた先輩もいらっしゃって、その周りの先輩にも相談させていただいたり。そういう人たちのおかげでやっぱり僕も昔と比べて成熟したと思います。たまたま巡り合わせで出会った方々ですが、本当に有難いです。

そうした素敵な方と巡り合うためには、日頃どのような姿勢でいれば良いのでしょう。

もちろん運的な要素もあると思いますが、それと同時に、いい人と出会ったときにしっかりと向き合えるマインドや準備をしておくことが重要ですね。

いい人と出会っても、自分が本当に「その方から多くのことを吸収したい」「自分をアップデートさせたい」っていう気持ちと、働きかけが掛け算しないと血肉にはならないと思うんです。

あとはビジネスにおいて活躍されている方は時間がすごく限られているので、その時間を自分にすこしでも頂くためには、最大限意欲を示すこと。例えば相談して「こういうのやってみなよ」「こういうのはどうだ」と言われた時に、すぐに実践・報告できるかといったことです。

相手からすると、何者でもない自分に対して何かしてくれるって、ボランティアでしかない。僕も含めて若者は“熱量”や言われたことを行動に移していく“素直さ”ぐらいでしかギブできないので、そこへ一生懸命にならなきゃなと思っています。

自立・自走できる人材を育成しながら、
加速度的に成長してゆく

起業後もたくさんの壁にぶつかられてきたと思いますが、そこを乗り越えたモチベーションはなんだったのでしょうか。

前提として、経営者とかマネージャーは、モチベーション云々でパフォーマンスが左右されるようではだめだと思っています。

一方で多くの社員にとってそれが大変だということは重々承知していますし、特にTsuzucleのような変化が激しいような会社だと、3ヶ月真剣に働くと課題に直面することは避けられないんですよね。真剣にやるほど物事がどんどん深く見えて、できないことが出てくる。壁に直面しているんだろうなという場面はよく見かけます。

ただモチベーションの波はありつつも、いいパフォーマンスの人が調子の出ない人をフォローするとか、調子が出ない時は人に頼ることでチームが安定するというのが、組織の良さだと思うので、社内では「調子が出ない」と開示することと、そこに対するフォローはしっかりするようにしています。

また、成長を実感できるように振り返りを文字で残して欲しいと伝えています。1ヶ月前のメモを見て、自分が成長しているなと感じられることが自信になり、次のチャレンジへとつながって良いサイクルが回っていく。そのサイクルをつくることが自立し自走していくということだと思うので。

特に現代ではAIが革新的に進化しているからこそ、どの部分を人間が担うのか改めて明確にし、そこのパフォーマンスにこだわって競合優位性をつくっていかなくてはならないと思っています。

人がやるからこそ優位性になることもありますし、そこに伴走すること=Tsuzucleの事業価値はとても高い。1社でも多くのお客様へ良いサービスを提供できるよう、皆で加速度的に成長していきます。

森 祐太社長笑顔の写真
編集後記

「5人のサポーターを大事にする」「熱量と素直さでしかギブできない」…森氏の実感のこもった言葉の数々が、ジーンと胸を打ち、我が身を省みさせられる。そんなインタビューでした。
これらはなにも起業に限らず、働くすべての人に通ずることです。働いているとつい大きな結果を求めたり、様々な事情から動きが鈍ったりしてしまうこともありますが、そんな時は森氏の言葉を思い出してみようと、強く思いました。

編集:佐藤 由理

「株式会社Tsuzucle」概要

2020年創業。「改善をつづける。成長をつくる。」をコンセプトに、日本のリテール業界のアップデートをサポートしている。主な事業内容は、Tsuzucle Business Platformを中心としたコンサルティング支援、デジタルマーケティング支援、開発支援。

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