CEOの仕事観に迫るメディア「CEO VOiCE」。今回インタビューに応じてくださったのは、株式会社 TWOSTONE&Sonsの代表取締役CEO・河端 保志氏です。
「会社づくりは、秘密基地をつくる感覚に近い」と語った河端氏。その言葉の意図を紐解く中で、楽しく働くための考え方、他人とのかかわり方などが見えてきました。
あまり“働いている”という感覚はないんですよね。働くとは、寝る前に歯を磨くようなものです。
まず僕にとって“会社づくり”は秘密基地をつくる感覚に近くて……好きな仲間とどんどん設備を良くしていくことが楽しいという価値観が根底にあります。そしてこれをするために、世の中において“仕事”と呼ばれる手段を取っていたら、いつの間にかそれが歯磨きのような日々の習慣になったと、そんな感じです。
“やりたいこと”が、資本主義社会における“働く”という定義にたまたま当てはまったから、仕事になっているだけなんですよね。だから働いているという感覚なく没頭できるのだと思います。
目の前のことをガムシャラにやってきた結果かなと思います。そうして自分のやりたいこと(世間的に仕事とされること)と出会い、そこに対しても本気で向き合ってきた。ただそれだけのことが価値観の形成や今につながっているんじゃないでしょうか。
会社づくり自体にも仲間と大きな数字をつくっていくことにもワクワクするし、それでご飯を食べられるという、一石二鳥ですよね(笑)
そもそも最初からやりたいことがある人なんて、世の中にはほとんどいないと思います。
よく野球選手が「小さい頃から野球選手になりたかった」などと言いますが、裏を返せば彼らって人生をずっと野球に捧げてきたということですよね。だから、人によってはそれ以外の選択肢を排除して野球にこだわっているという側面もあるかもしれません。でも普通の学生は選択肢がたくさんあるじゃないですか。その中で自分のやりたいことを見つけるのって非常に難しいですよね。
僕もやりたいことや夢があったわけではありません。僕は、“夢はないけれど目標があるタイプ”なんです。僕の中での“夢”の定義は、成功の確度が5%以下のもの。対して“目標”は頑張れば50%ぐらい達成できるものと定義しています。だから、ついできなかった時のことを考えて夢を持てない。むしろ、短期スパンで目標を立てて毎回達成して、目標をアップデートしていくほうが自分に合っていると思います。
例えば起業した時には「上場なんて神がすることだろう」くらいに思っていたのですが、まずは年商1000万を目指そう、次は10億だとやっていく中で、事業を伸ばすために上場が必要になり、しかもそれがこのまま努力すれば上場の水準に持っていけるとわかったから上場を考えたという具合に。やりたいことがなくても、こういう進み方でもいいんじゃないかなと、僕は思います。
価値観の合う人がいるかだと思います。キャリアを全うしたい人はすればいいし、資本主義から離れたところで自給自足する生活も、十二分に充実している人生でしょう。その中で自分がどう生きていきたいか考えて、それと近い価値観を持つ人が集まっている場所へ行けばいいと思います。僕は、会社ってある種“宗教”のようなものだと思っているので。
正解なんてない、多様でいい。自分が共感できるところを選べばよいのです。その会社が掲げる正義に対して「いいな」と思える場所に身を置いて仲間と一緒に過ごしていくというのは、すごくいい時間なんじゃないかなと思いますよ。
キャリア志向や成長意欲が高い人、理不尽なことが嫌いな人にはものすごく合うと思います。実力主義で、頑張った人が報われる組織なので、自分のキャリアを伸ばして市場価値を高めたい人にとってはいい組織です。
また、どんな会社に行っても99.9%超ドロくさくて、時々0.1%光り輝く瞬間があるというのが仕事です。
ただその0.1%でも輝けるかどうかは、経営者を始めとした責任者たちが「何が何でもこの組織を勝たせるんだ」という気持ちを持っているかにかかっていると思います。当社はその部分に関して、信頼していただける会社です。資本主義社会において勝ちたい、キャリアを積みたいと思っている方は、ぜひ当社へ来ていただけたら嬉しいです。
人には得意不得意がある、という前提があるからだと思います。
例えば、当社を共同創業したCOOの高原と僕では、持っている強みがまったく違うんですよね。
創業期は、僕の負担が大きいように感じ、高原に対して不満を持つこともありました。でもすこし経った頃、僕がまったくパフォーマンスできない一方で、彼が大きくパフォーマンスする時期が来て、これが“それぞれの強み”ということかと思ったんです。
高原は最初ただのビジネスパートナーでしたが、そうやって会社が良い時も悪い時もお互いの強みを活かしながら10年やってきて、今や、最も信用できる家族のような存在になりました。
「自分と違うから」と遠ざけるのではなく、そういう価値観もあると尊重し、場合によっては活かし合うことで、信頼関係ができていくのだと身をもって体験して……こういう考え方のほうが面白いな、好きだなと思うようになったのも大きいかなと思います。
河端氏は、仕事への向き合い方や異なる価値観を持った人との関わり方さえも、働く中で磨いてこられたのでしょう。働くという行為がいかに人を進化させてくれるのか、河端氏のお話から学びました。
やりたいことを探すこともまた自分の解像度を上げることにつながりますが、それが見つからず悩むのなら、一度自分の外側に目を向けて目の前の仕事や人と向き合ってみるのが良いかもしれません。
編集:佐藤 由理
共同代表である河端氏・高原氏の「世の中に存在する“不合理な常識”を覆す」という想いのもと、2013年に株式会社Branding Engineerとして創業。
企業とITエンジニアのマッチングサービスや転職・教育サービスなど、エンジニアに特化したプラットフォーム事業を中心に様々なビジネスをグループで展開。2020年に東証グロースへ上場、2023年にホールディングス体制へ移行、現在の社名に変更した。