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年間引き渡し棟数1000棟以上!
注文住宅不況でも業績を伸ばし続けるCEOの考え方

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#100年企業#住宅営業#世界レベルの住宅へ

年間引き渡し棟数1,000棟以上(うち98%が注文住宅)を誇るヤマト住建株式会社。今回はその代表取締役、中川 泰 氏にインタビューしました。
ヤマト住建といえば、つい住宅性能や受賞歴といったわかりやすい強みに目が行ってしまいます。しかし、注文住宅不況と言われる中業績を伸ばし続けているのには、そうした実績とは別の理由がありました。

ヤマト住建株式会社
中川 泰
中川 泰 氏のプロフィール写真

1963年滋賀県生まれ。1992年ヤマト住建に入社。本店店長、専務取締役などを経て2017年4月より現職。お客様にも、協力会社様にも、従業員にも愛される100年以上続く企業を目指している。

中川 泰 氏のプロフィール写真

住宅業界を渡りながら構築していった仕事観と、ずっと変わらぬ源泉

働くことへの価値観の変容について、どう捉えていますか。

私は昨年で還暦を迎えたのですが、このくらいの世代って、もう本当に仕事に打ち込んで地位や名誉やお金を稼ぐという考え方がしみ込んでいるんですよ。
だからやっぱり、若年層の方とは感覚がすこし違うなと感じます。具体的にはプライベートのために仕事を休んだり、仕事にそれほど高いモチベーションを持っていなかったりといった部分ですかね。

大きな話になってまいますけど、なんせ日本は資源がない。その日本がグローバルで打ち勝っていくために、仕事との向き合い方を見直すことは大事だと思っています。
ただそればっかり押し付けてしまっても成り立たないので、双方の考え方を上手いこと共存させていく必要がありますね。その判断やさじ加減を試行錯誤しながら、日々社員と会社の事を考えています。

ご自身はこれまでどんなキャリアを歩んできたのですか?

新卒ではマンションデベロッパーの会社へ入社しました。
お客様から直接必要とされる仕事をしたいと思っていたものの、その会社では直に販売することがなかったんです。
自分たちでつくった商品を持って接客したいと考えた時、この業界なら注文住宅が1番近いだろうと思って、転職しました。

住宅業界の中でも、よりご自身の価値観にフィットするほうへ転職したんですね。

はい。だから仕事観というか…私の源泉は、お客様から「中川さんありがとう」と実際に言っていただけたことです。お客様の笑顔を間近で見られるのは、仕事の醍醐味であり、私自身の喜びでもありました。

でも代表になってからは、社員が働きやすい環境を整えることが仕事になり、お客様の喜びはどちらかというと間接的に感じるものになってきました。
会社の力である社員が喜ぶことによって、それぞれ良い仕事をできて、最終的にお客様が喜んでくださるという想いからです。

1番社員に喜んでもらえる環境や施策、福利厚生などを考え整備しているのが現状であり、それで社員が喜んでくれることこそ、私自身の原動力になっています。

中川 泰 氏

まだ富士山の1合目_社員を大事にしながら、一丸となって駆け上がる

働きやすさについて、どのようなことに取り組まれているのでしょうか。

色々ありますが、ユニークなのは“ブラザー制度”といって、若手がベテランとペアを組んで営業することでしょうか。

中途採用で営業経験者と言っても、住宅業界は初めての社員も結構います。住宅業界は覚えることが山盛りありますから、1人でやるには難易度が高くて。以前はだいぶ離職者が出てしまっていました。
ブラザー制度を始めてから離職率の改善はもちろん、新卒・中途問わず、成長速度も上がりましたね。積極的にお客様のもとへ足を運ぶようになって、成功体験をたくさん積めて、1~2年で1人前と呼べる社員も多数出るようになりました。

また本来、営業から設計、工事、アフターフォローまで必要ですが、1人だとどうしても販売に手いっぱいになってしまいがち。
ベテランと組むことで「お客様や社内チームと歩んでいく仕事だ」という意識も持てるようになったのではと思います。ブラザー制度は、お客様へ寄り添った営業という観点でも良いものでした。

中川 泰 氏

まさに“社員の喜びが、お客様の喜びにつながる”と。他に取り組んでいることはありますか?

毎月全社員を集めて行っている“合同研修”で、前月の成績優秀者を表彰しています。
コロナ禍を経て、社員の働く気力や熱量が落ちてしまったな、どないか上げていかなあかんと思いまして。

全社員600人ぐらいの前で賞状と金一封をお渡ししますから、表彰される方には喜んでいただいてるのではないかなと思います。

そうした社内の取り組みや環境も、業績を伸ばしている秘訣のひとつですね。

いえ、まだ富士山の1合目ですよ(笑)

今37店舗のところ、5年後には100店舗にしようと考えています。それにはやはり人が必要ですから、今いる社員を大事にしながら、新しい仲間もどんどん迎えていきたいです。

長く住まえる住宅、長く愛される企業を追求していく

今後の展望を詳しく聞かせてください。

ひとつ大きな目標として掲げているのは“100年企業”ですね。
100年続く企業になるために、社内に“魂継委員会”(こんけい いいんかい)という組織を立ち上げて、潰れてしまった会社の倒産理由や、100年続いている会社のポイントを勉強しています。エリアマネージャークラスの方を中心に、色々な部署から人が集まってくれています。

それは経営にも活かしているのでしょうか。

はい。こんなケースは良くないとか、具体的にこういう取り組みはうちもできそうだとかわかったら、すぐに反映させるようにしています。
うちのような中小企業はスピードが大事ですから、時間かけて90~100点のものをつくるより、もう50点ぐらいでもええからとりあえずやる。失敗したら後で改善してったらええっていう社風なんですよ。

だから、挑戦して失敗することはありますけども、みんな色々チャレンジしてくれてますね。うちの会社ではチャレンジして失敗したからといって怒られることはありませんから。
自分から色々と調べて行動してくれて、みんなが働きやすくなって、サービスの質が上がって。いいサイクルになっているなと思います。

中川 泰 氏

素晴らしいですね。

また、日本は世界と比べて住宅性能が劣っています。日本の住宅の平均寿命が約30年と言われているのに対して、アメリカでは96年、イギリスでは141年というデータがあるんです。

この差はまさに住宅性能の差で、高気密・高断熱の住宅が日本に少ないことが原因です。当社では高気密・高断熱で魔法瓶のような住宅、健康で快適に過ごせる住宅のみを提供することにこだわっていて、住む人にとって良い住宅が自然とCO2の排出量を減らすことができて地球環境にも良いことがポイントです。
こういった家は住宅寿命も延びますので、30年という、ローンを払い終わった頃にもう一度建て替えや住み替えなどを考えといけないという状況を無くしていく、日本の住宅を世界基準レベルに引き上げるのがヤマト住建の使命です。

この本物の住宅のみを提供することは社員がお客様に対して嘘をつかなくていい、胸を張って自社の家づくりを進めていけるのが働きがいにも繋がっていると思っています。

編集後記

“他者に喜んでもらうこと”を源泉としながら、自らのキャリア、そしてヤマト住建の未来を切り拓いてきた中川氏。“時代や価値観が変わっても本質は変わらないし、本質を見失わなければ良い方へ進む”ということを体現してくれているのだと感じました。

社会は日々変化するもの。まずは仕事の中にたったひとつ本質を見出してみましょう。それはきっと、あなたのコンパスになってくれるはずです。

編集:佐藤 由理

「ヤマト住建株式会社」概要

1987年創業/90年設立のハウスメーカー。関東・近畿エリアを中心に、注文住宅事業を主として住宅にかかわるサービスを展開している。
健康で快適な暮らしを提供するため住宅性能の高い住宅のみを提供し、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー(※)を14期連続(うち大賞が3回)受賞しており、2021年度の省エネ大賞では最高位の経済産業大臣賞を受賞した実績を持つ。ZEHビルダー最高評価の6つ星も取得。

(※省エネルギーやCO2削減等へ貢献する、優れた住宅を称える制度)

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